M6934
トリッカーズのドレスラインを代表するストレートチップ。ヒールカップが小さく、フィット感の高い「10660/1」ラストを採用した一足だ。半カラス仕上げのソールなど、細部も高級感ある仕立てになっている。7万3000円
カントリー靴と好対照な繊細ステッチ
武骨なカントリー靴のイメージが強いトリッカーズだが、ドレスラインでは非常に繊細なステッチワークを見せる。同社の技術力の高さが窺える一面だ。
堅牢かつ美しい仕上げのシングルソール
ドレッシーな仕立てに合わせた、丁寧なソールの仕上げも見事。エレガントな表情だが、しっかりと耐久性のある底材を使用し、堅牢さも保持している。
耐久性と高級感のバランスが見事なアッパー
リッチな光沢を湛えつつ、タフな使用にも耐えるカーフを採用。実用靴としての高級さを重視する靴作りに、質実剛健なトリッカーズらしさが見える。
M5633
「M2508」と並び、カントリーシューズの象徴的モデルとなっている一足。ラストはブーツよりもややボリュームのある「4444」を使用。靴好きにも服好きにもファン多数の傑作休日靴だ。7万8000円
剛健さを全面に出したウェルティング
ドレスラインとはうってかわって、カントリー靴では剛健な仕立てを見せる。極太の出し縫いと水の浸入を防ぐストームウェルトはタフさの象徴だ。
快適な歩行をサポートするトウスプリング
分厚いダブルソールを採用しつつも、トウスプリングを強く設定することで快適な歩き心地を実現。靴自体は重くても、疲れを感じさせない作りだ。
がっちりと踵を包む360度ステッチ
どっしりとした大きなヒールを包み込むオールアラウンド・グッドイヤー製法で、耐久性は最強。悪路を気にせずガンガン履いてこそ真骨頂が発揮される。
繊細と武骨、二つの顔をもつ懐の深い靴作り
とにかく質実剛健、というのが一般的なイメージであろう。しかし、P2でも触れたように、トリッカーズはドレスシューズ作りでも100年以上の歴史を持つメーカーなのだ。その実力は、ドレス靴の代表的モデル「M6934」のディテールに表れている。繊細なステッチや格調ある素材使いを見れば、トリッカーズの靴作りがタフさ一辺倒でないことがよくわかる。
一方、カントリー靴では非常に武骨で堅牢な仕立てを見せている。相反する二つの靴作りを同時に行える懐の深さは、180年を超えるトリッカーズの歴史が培ったもの。伝統の力を思い知らされる一面だ。
トリッカーズと日本の意外な友好関係
トリッカーズと日本の靴業界には、あまり知られていない接点がある。日本の仕立て靴業界の第一人者、山口千尋氏が運営する学校「サルワカ・フットウェア・カレッジ」をトリッカーズの職人が訪れ、生徒に靴作りの技を伝授しているのだ。ちなみにこれは、両者の友好関係による非公式な講習のため、今後の予定などは未定とのこと。