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エンジンモデルとの違いはV12サウンドが聞こえないくらい

ロールス・ロイス スペクター・プロトタイプ
プロトタイプにより、のべ250万kmにも及ぶテスト走行が行われている。

実際に試乗しての印象も、いかにもロールス・ロイスらしいもので、EVだから静かなのは当然のこと、路面から一切のショックを伝えないしなやかな乗り心地も、それでいながらドライバーの操作に正確に応えてくれるハンドリングも、まさにロールス・ロイスそのものだった。

ロールス・ロイス スペクター・プロトタイプ
最高出力585ps/最大トルク900Nmを発生するモーターを搭載したブランド初の電気自動車。

従来のエンジンを積んだロールス・ロイスとの数少ない違いは、追い越し加速などで強くアクセルペダルを踏み込んでもV12エンジンの心地よいサウンドが聞こえなくなったこと。そして、シフトレバー上に設けられたBボタンを押すと、ブレーキペダルを踏まなくてもアクセルペダルを離すだけで完全停止までできるワンペダル・ドライブが設定されたことくらいだろう。

ちなみに、EVでよく見かけるワンペダル・ドライブは、慣れないとかえってクルマの動きがギクシャクしてしまうものだが、ロールス・ロイスの場合はさすがによく練り込まれていて、スムーズに走らせるのが容易ないっぽうで、止まるべきところではすっと止まる反応のよさも備えていた。

スペクター・プロトタイプ試乗中の筆者
スペクター・プロトタイプ試乗中の筆者。

それにしても、ロールス・ロイスのユーザーは、そもそもEVを歓迎するのだろうか? ミュラー・エトヴェシュCEOにそう尋ねると、こんな答えが返ってきた。

ロールス・ロイス スペクター・プロトタイプ
ボディサイズは全長5453×全幅2080×全高1559mm、ホイールベースは3210mmとなる。

「ロールス・ロイスのオーナーは、何台も、ときには何十台もクルマを所有されています。そして、その多くの方々がすでにポルシェ タイカンやテスラなどのEVを購入しており、ご自宅のガレージに充電用ウォールボックスを備えています。つまり、皆さんはEVのことをよく承知したうえで、『ロールス・ロイスのEVが欲しい』とおっしゃっているのです」

ちなみにロールス・ロイスの調査によれば、オーナーの94%は1週間に150km以上乗ることはなく、年間走行距離が3000kmを超えるケースはほぼ皆無という。

ロールス・ロイス スペクター・プロトタイプ
一回の充電での走行可能距離は520kmとされる。

「それに、もしも長距離ドライブにでかけるのなら、それに適した別のモデルに乗られることでしょう」とミュラー・エトヴェシュCEO。ちなみにスペクターの1充電あたりの航続距離は520kmなので、少なくともロールス・ロイスオーナーに限っていえば「EVは航続距離が短くて不便」という不満を覚えることはないだろう。

文=大谷達也 写真=ロールス・ロイス・モーター・カーズ 編集=iconic

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