主演作「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」がいよいよ2024年1月公開。30代を迎えてたくましさを増してきた俳優・竹内涼真さん。
「自分で見せようという意識よりも服に身を任せて、自然とその位置に体を置きたくなるような感じで」
彼のしなやかで的確な動きが冬のエレガントな装いの魅力を引き立てる。
「表現者として、悔いがないものをひとつひとつ残したい」
ロングコートで冬の街を車ではなく、歩きたい!
――コートやアウターを中心に、冬のコーディネートを纏っていただきました。服が好きで、着慣れている印象を受けました。
竹内 ありがとうございます。今回、ハイブランドのこだわりがつまったものを着させていただきましたが、自分で見せようという意識より、服に身を任せて自然とその位置に体を置きたくなるような感じで動いたほうがキレイに見えるかなと思いながら、撮影を楽しんでいました。今年30歳になって、上質なものを身に着ける理由みたいなものが、うっすらと分かりかけてきたような感覚はあります。20代前半の頃は、海外の俳優さんの私服を参考にしていた時期もありましたが、カッコいいなと思っても体が細くて似合わなかったんです。だんだん体を鍛えるようになって、30代に近づくにつれ、これなら着られるかなと思い始め、そこからスーツをオーダーメイドで作っていただくようになりました。テーラーをやっている友人にロロ・ピアーナの生地で仕立ててもらったり、アルマーニやダンヒルでも作っていただきました。最近は、ヴィンテージのTシャツに似合うバレンシアガのパンツにもハマっています。自分で好きなものをある程度買えるような年齢になって、よりファッションが好きになりました。
――冬場の着こなしのポイントは?
竹内 一番大事にしているのが丈感。なので、かっこよくロングコートを着たくなるんですよね。ドレープ感を楽しみながら歩きたいんです。歩いてみないと本当のカッコよさが見えない服もあるじゃないですか。冬は空気が澄んでいて、夏よりも街の景色がクリアだし、夜はイルミネーションもキレイ。冬の枯れた木々や、寒さに息が白くなる感じに馴染むトーンの服で、車に乗るんじゃなくて、歩きたい。好きな服でヨーロッパの街並みを歩いたら最高でしょうね。
――言葉の端々にファッションへの愛を感じます。さて、主演作「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」がいよいよ1月公開。日本テレビとビデオ・オン・デマンド・サービスのHuluとの共同製作による極限ゾンビサバイバルドラマ「君と世界が終わる日に」は、21年にSeason1がスタートし、これまでにSeason4までが配信され、大きな反響を呼んでいます。映画化にはどんな思いが?
竹内 Season1のときには、映画化の話は全く出ていなかったんです。でも自分の中では密かに劇場版に対する願望はありました。大型のスクリーンで観てもらうことを基準に画作りやライティングを考えると何かが変わるんじゃないか、という話をスタッフの方たちともしていたんです。それが、気づいたら実現していて、真剣に取り組んで頑張っているとご褒美があるんだなと思いました。
――劇場版では、これまでのシリーズも踏まえつつ、ここは変える、ここは変えないなどの工夫や判断があったかと?
竹内 約2時間の中でスタートして完結しなくてはならないのですが、劇場版から観ても大丈夫なようにストーリーを展開していますし、これまでのシリーズのときとは違う醍醐味もあり、新しい「きみセカ」の楽しみ方ができると思います。ただ基本的に僕の演じ方は変えていません。これまでのシリーズでも些細な表情の変化にまで気を配って演じてきましたが、スマホでは見えなかった部分も大型スクリーンでなら見えてくるものがある。なので脚本や演出も、今まで以上にプロデューサーや監督とディスカッションを重ねてアイデアを出させてもらうこともありました。客観的に見て「きみセカ」が本来目指していた地点に立ち戻り、ゴールまでのプロセスを何回もやり取りして構成していった感じです。
――本来目指していたものとは?
竹内 結局、愛情なんですよね。サバイバルの部分があり、ゴーレムというゾンビとの闘いもありますが、響にとって一番幸せな終わり方というのは何だろうということを一生懸命話し合って決めていきました。いい意味で心も体もしっかり疲れるまで最大限この作品に時間を費やせたと実感しています。
――この作品はご自身のキャリアの中でどんな意味を持つでしょう?
竹内 20代の最後(撮影時が20代ラスト)に、これだけ時間をかけて作った作品ですし、共演者やスタッフの皆さんと足並みを揃えて作り上げたという感覚がすごく強いです。そういう経験ができたことは、すごい財産ですね。Season1の撮影から4年近くが経って自分の考え方や演じ方も違うものになってきています。この作品の撮影が年に一度やってくるたびに、1年間いろいろ考えていたことをぶつける作業を繰り返し、一歩ずつ階段を上がっていった感覚です。
――ここからどんな30代を過ごしたいとお考えでしょう?
竹内 徐々になりたい自分になっていっている感覚はあって、今は本当にやりたいことにシフトしていく準備段階。自分に自信を持ちたい時期なので、演技や表現ももっと勉強したいし、いろんな世界を見て、さまざまな人たちと関わりたい。40代後半とか50代になって、ある程度自分を確立できたときに、ほかのものは切り捨てるぐらい命を懸けてやれる作品に関われたら幸せだろうなと想像しています。表現者として、悔いがないものをひとつひとつ残せればと思いますね。
Ryoma Takeuchi
1993年東京生まれ。2013年俳優デビュー、翌14年「仮面ライダードライブ」に主演。15年TBS日曜劇場「下町ロケット」、17年NHK連続テレビ小説「ひよっこ」、同年TBS日曜劇場「陸王」などで好演。17年映画「帝一の國」の大鷹弾役で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞はじめ、数々の映画賞を受賞。21年にスタートした日本テレビとHuluとの共同製作による「君と世界が終わる日に」では約4年間シリーズを通して主演を務め、今回、満を持して映画化。「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」が2024年1月26日(金)公開予定。
[MEN’S EX Winter 2024の記事を再構成]
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