どこからどう見ても“ロールス・ロイス”
ロールス・ロイス スペクターは、間もなく創業して120年になるロールス・ロイスが初めて手がける電気自動車(EV)。2023年後半のデリバリー開始に向け、いま250万kmに及ぶテスト走行の総仕上げに取り組んでいるところだ。私は、世界中から招かれた8人のジャーナリストとともに、南アフリカでテスト中のスペクター・プロトタイプに試乗したので、ここでその印象をお伝えしよう。
外観をご覧になっておわかりのとおり、スペクターはどこからどう見てもロールス・ロイスそのもの。ボディ後端に向けて流れるように下降するルーフラインが印象的な2ドアクーペとされたが、パルテノン神殿と称されるフロントグリルは健在だし、EVであることをことさら強調するようなデザイン要素は見当たらない。ちなみに、これらはロールス・ロイスユーザーからのフィードバックをもとに決められたそうだ。
「ごく初期のスペクター・プロトタイプを一部のお客さまにご披露したところ、皆さまいちように喜んでいらっしゃったのと同時に、ほっとしていらっしゃる様子だったのが印象的でした。キャビンに巨大なディスプレイを置いたりせず、いかにもロールス・ロイスらしい仕上がりにしたことで、皆さま安心されたようです」
試乗会場でインタビューしたロールス・ロイスのトルステン・ミュラー・エトヴェシュCEOは、私にそう打ち明けた。