大人4人が快適な“グランドツーリングカー”
ポルシェパナメーラが8年ぶりに3世代目へとフルモデルチェンジした。パナメーラはポルシェのラインアップにおいては、4ドアで大人4人が快適に過ごせる空間を有した“グランドツーリングカー”というポジションにある。ポルシェのグローバルセールスにおいて、もっとも売れているのがカイエン、続いてマカン。そして911、タイカン、パナメーラ、718ボクスター&ケイマンの順となっている。SUV人気は世界的な潮流だが、モデル後半を迎えていた4ドアサルーンを再認識してもらおうというポルシェの意欲作だ。
新型パナメーラの国際試乗会は、2024年2月下旬、温暖な気候に恵まれたスペイン南部、アンダルシア州の州都セビリアで行われた。出発地点である市内のホテルには、ベースモデルのパナメーラが用意されていた。プラットフォームは従来の「MSB」の改良版で、ボディサイズは、全長5052 mm、全幅1937 mm、全高1423 mm、ホイールベース2950mmと先代とほぼ同寸。
エクステリアでは、フェンダーの峰が911や718のように高くなり、運転席からの眺めはスポーツカーのよう。4つのモジュールが特徴的なLEDヘッドライトのエッジが鋭くなり全体的にシャープさが強調されている。ナンバープレートホルダーの上に、新たに追加されたエアインレットは先代とのわかりやすい識別点だ。
インテリアはタイカンにはじまった最新のデザイントレンドを踏襲する。メーターはひさしのない自立型の12.6インチディスプレイで、オプションでヘッドアップディスプレイや助手席用ディスプレイも用意されている。オートマチックトランスミッションのセレクターレバーは、ステアリングホイールの右側奥に移設されており、センターコンソールまわりからはスイッチ類などが省かれスッキリとした印象になった。
リアシートは身長約180cmの大人でも十分にくつろげるスペースがある。ベースは4シーター仕様で、オプションで4 + 1席を選択することも可能。後席は40:20:40の分割可倒式で、荷室容量は「パナメーラ/パナメーラ4」が494~1328リッター、「パナメーラ ターボE-ハイブリッド」が421~1255リッターとなっている。
パナメーラと4輪駆動のパナメーラ4に共通のエンジンは、2.9リッターのV6ターボ。ブーストアップなどの改良により先代比で23 ps/50Nmアップの最高出力353ps/最大トルク500Nmを発揮。トランスミッションは8速PDKを組み合わせる。セビリアの市街地を、全長5m超であることを忘れさせるほど軽快に走る。そしてPDKはまるでトルコンATのように低速域でギクシャクすることもなく、滑らかにシフトチェンジしていく。
足回りには、ポルシェアクティブサスペンションマネージメント(PASM)を備える2チャンバー、2バルブ技術のエアサスペンションを標準装備する。これはダンパーの伸び側と縮み側とを別々に制御可能なもので、ヨーロッパの石畳のような道でもショックを大幅に吸収し、一方でワインディング区間ではほんのわずかなステアリング操作に対して忠実にコーナーを曲がっていく。高速道路での直進安定性も抜群だ。