履きこんでわかった名靴の真価、私の”思い出”サントーニ

「完璧」と自賛するその理由とは

創業者であるアンドレア・サントーニの息子にして、ブランドの現社長として辣腕を揮うジュゼッペ氏。これまで数え切れないほどの新作に携わってきた氏の、最も気に入っている一足がこのローファーだという。

ジュゼッペ・サントーニ氏
サントーニ社長 ジュゼッペ・サントーニ氏
1968年生まれ。父アンドレア氏の跡を継ぎ1990年、社長に就任。ブランドを取り仕切る。

「サントーニのお家芸であるアンティカータ・ア・マーノ(ハンドペインティング)の仕上げと良質なクロコダイル素材とのマッチングが最高に気に入っていますね。実は同素材のダブルモンクも愛用していますが、特に出張時はこのタッセルローファーを必ず持っていくようにしています。私にとって、装いのキーとなるものは3つ。時計、香水、そして靴です。つまり靴の役割は非常に重要というわけですが、この靴はローファーらしからぬエレガンスがあって、ドレッシーなスーツにも非常に相性が良い。そのうえ、適度な遊び心も効いている。そこが好きですね」

完璧な”調和”こそ私が靴に求める理想の姿です

これまでジュゼッペ氏は、実に400足ものサントーニを履いてきたという。その理由は、新しい靴が出る前に必ず試してみるから。そして修正点をみつけ、より靴の完成度を高めるのだという。

「私は、サントーニの靴を完璧なものだと自負しています。なぜって、すべての新作を必ず半年以上は履いて、納得がゆくまで製品化しないから。市場に出ているものは、自分が心から認めただけなのです。サントーニの真髄は”調和”です。デザイン、素材、色、シルエットの調和。料理と一緒で、素晴らしい素材を調和させてこそ、完璧なものができあがるのです。それこそクリエイティブというものではないでしょうか。日本の文化も調和を重んじていると思いますので、日本の方には特にサントーニを履いていただきたい。日本の素晴らしい文化とサントーニの”調和”。それこそ私が最も見たいものです」

サントーニの10663
10663
上質なリアルクロコで仕立てられたタッセルローファー。ネイビーのハンドペインティングが施され、独特な存在感を放っている。履き込んでツヤを増したクロコの表情も絶品だ。仕立てはブレイクで履き心地快適。現在は購入不可。

安定した高品質を支える自社一貫生産

サントーニの工場俯瞰

マルケに拠点を構えるサントーニのファクトリーは、革の選定から裁断、縫製、仕上げまで一貫して行う大規模工場だ。数百人の熟練職人と近代的な設備を備え、効率的かつハイクオリティな靴作りが行われている。工場の隣にはヘッドオフィスがあり、会長のアンドレア氏、社長のジュゼッペ氏も常に品質をチェックしているという。

サントーニの工場外観

この工場は2010年に新築され、写真のようにかなり近代的に生まれ変わった。環境問題への配慮がテーマとされ、ソーラーパネルや排水を循環させて水を再利用するシステムなどが工場全体に採用されている。

サントーニの工場内観
リニューアルされた工場は、自然光と白・緑をベースにしたクリーンで近代的な建物。さまざまなエコシステムも採用し、地球環境に配慮することを自社の理念のひとつに掲げている。

2025

VOL.343

Winter

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