「越前がに」が美味しい理由
日本海側にはズワイガニの特産地が多く、解禁になるとカニ目当ての観光客がどっと押し寄せる。漁獲された場所によって呼び名が変わり、福井県の港に揚がるのが、有名な「越前がに」だ。
越前がにの特徴は、福井県に面する日本海の海底の地形的な理由から漁場が近いため、とても新鮮な状態で茹でることができること。また水温が低く酸素が多く含まれる日本海固有の海水の影響により、栄養が豊富な環境で育つため、
身がぎっしりと詰まりプリプリとしていること。
つまり、ついさっきまで海にいたプリプリのカニを食べることができるのだ。
越前におけるズワイガニ漁の歴史は国内で最も古く、室町時代に京都に住んでいた三条西実隆の日記に「越前蟹」と記されていた。この頃、もうすでに越前の国すなわち福井県ではズワイガニが漁獲され、京都にも運ばれていたことが推測される。
恵まれた漁場と歴史ある越前がには黄色いタグがつけられ、ズワイガニの中でもトップブランドであり、最高級品種として知られている。
2015年シーズンから登場したブランド「極」は、甲羅幅14.5cm以上、重さ1.5kg以上(水揚げ時)、爪の幅3cm以上の極大サイズのオスのズワイガニを、競り人や仲買人などが選定同意して認められる。
越前がに「極」は、全水揚げ量の約0.05%のみが該当するといわれ、1シーズンで約500匹に満たない。2017年11月6日の初競りでは、「極」は1匹46万円の最高値で落札された。「越前がに」の頂点、ということは日本でもナンバーワンのズワイガニということなのである。