軽快なリズム感で心地よく高揚させてくれる
新開発のディーゼルエンジンは、エンジンをかけた瞬間から、その甘美的な回転フィールでドライバーを魅了してしまう。その感触は、ただ滑らかというだけとも異なる。スムーズな中にも、ストレート6特有の軽快なリズム感があって、これがドライバーの気持ちを心地よく高揚させてくれるのだ。
そして、クルマが加速していく過程の滑らかなパワーの湧きだし方はストレート6だけのもの。ディーゼルエンジンもなぜかストレート6になるとガラガラというノイズが影を潜め、心地いいメカニカルサウンドをさり気なく響かせるのも不思議なところ。その感触は、なんともいえずクオリティ感が高いもので、特に飛ばしたりしなくても思わずうっとりしてしまうことだろう。
もちろん、最高出力300ps、最大トルク650Nmを生み出す力強さは充分以上で、静止状態からの加速だろうと、高速道路での追い越し加速だろうと、まったく不満のないダッシュ力を披露してくれる。最高出力は同じ300psでも、最大トルクは400Nm(それにしても充分力強い! )に留まる2リッター・ガソリンエンジンを、明確に引き離す動力性能といえる。
このストレート6ディーゼルがなんともいえない高級感を生み出してくれることは前述のとおり。ランドローバーのラインナップには、レンジローバーという長い伝統を誇るプレミアムSUVのサブブランドがあるけれど、ストレート6ディーゼルを積んだディフェンダーであれば、インテリアの作りをもう少し豪華にするだけで、充分にレンジローバーを名乗れるほどのプレミアム感がある。しかも、価格は754万円からと、このクラスのSUVとしてはかなりお買い得。今後、ディフェンダーの人気がこのストレート6ディーゼルに集中したとしても不思議ではないくらい、素晴らしい仕上がりだった。
文=大谷達也 写真=ジャガー・ランドローバー・ジャパン、柳田由人 編集=iconic