タフなSUVを好むなら英国生まれのオフローダーで決まり
四角いボディに本格4WD性能人気を集める要因をすべて備える
ランドローバーの歴史は第二次世界大戦後に始まった。アメリカにおけるジープの英国版、とでも言おうか。ローバー社の作るクロスカントリー四輪駆動車は当初シンプルにランドローバーと呼ばれており、ホイールベースの長さ(インチ)でグレード分けを行なっていた。1980年代前半になって登場したのがシリーズⅢのランドローバー90と110だった。そして、 ’90年に新たなクロカン四駆シリーズとしてディスカバリーが登場する。その際、従来モデルにも新たな名前が与えられた。それがディフェンダーだ。
ショートとロング2つのボディ形状をラインナップ
初代ディフェンダーは結局、2015年まで量産された。その後はごく少量の高価な限定モデルが作られたに留まる。そして’20年、二代目となるディフェンダーがついに登場した。ちなみに新型ディフェンダーにも3ドアショートボディの90と5ドアロングの110という2タイプのボディが用意されたが、その数字はもはや以前のようにホイールベース長を表すものではない。親しまれてきた数字とボディ形状の関係を象徴的に使っている。
これほどまで大きなSUVが今、果たして日本市場で受け入れてもらえるのだろうか。レンジローバー イヴォークが人気を博したのはコンパクトなボディ形状だったからだ。当初は輸入する側もあまりの大きさに不安を感じていたらしい。最初に輸入された5ドアの110だと、全長5m前後はともかく、幅はほぼ2mで、最小回転半径だって6mを超えてくる。確かに数字を見る限り日本で売れそうな大きさではなかった。
同門のレンジローバー ヴォークのような高級モデルならまだしも、ディフェンダーはディスカバリーと並ぶランドローバーブランドの主力商品だ。これまでにもサイズがネックとなって売れなかった輸入車は少なくない。
ところがどうだ。発表されるや否やあっという間に当初の輸入予定分を売り切るほどの人気モデルとなった。そうこうするうちにディフェンダー本来の姿というべき3ドアの90も上陸。さらに待望の3リットル直6ディーゼルエンジン搭載モデルが110に加わった。このエンジンこそ新型ディフェンダーの本命であろう。
大人気となった最も大きな理由はデザインだ。マーケットがこの形、つまり以前のディフェンダーらしさを感じさせつつシンプルモダンなSUVスタイルを望んでいた。ランドローバーのデザインチームは2010年頃からディフェンダーの新たなスタイルを模索していて、このカタチを念入りに仕上げてきたと言っていい。