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レンジ・エクステンダー付モデルなら400km以上を余裕で走るEVコンパクト(画像4点)

岡崎五朗さんが解説する今月のパートナー

BMW i3がデビューしてから7年経つが、その理想主義的なクルマ作りはいまだ魅力的だ。それどころか、新しいEVが登場する度にi3の独自性はますます高まってきているとすら感じる。

まずボディ構造が斬新だ。アルミをふんだんに使ったシャーシとカーボン製ボディというコストに糸目を付けない贅沢な構造が生みだしたのは、ほぼ同じ容量のバッテリーを積む日産リーフより約200kgも軽い車重。クルマにとって軽さが加速性能、ブレーキ性能、ハンドリング、燃費(電費)などすべてに貢献する絶対的正義であるのは言うまでもない。後部に積んだモーターで後輪を駆動するRRという駆動方式や観音開き式ドアもユニークだ。

 ユニークと言えば、バッテリーを使い切ってしまったときのためにオプションで発電用エンジンを搭載できるのも面白い。EVモデルの航続距離は360kmだが、排気量647ccの発電用小型2気筒エンジンと9ℓの燃料タンクを備えたレンジ・エクステンダー仕様を選べば航続距離はさらに約100km伸びる。小型エンジンによる発電量は限られるため動力性能はがくりと落ちるが、ガソリンさえ入れれば充電器のある場所まで走って行ける。EVに付きもののバッテリー切れによる立ち往生の不安が解消されるのは大きなメリットだ。

意外と知らない東京の街を大人のナイトクルーズ

ナイトクルーズ

スタート地点は東京駅。ここからフル充電したi3で走り出す。

先に説明するが撮影隊が撮ったコースはあくまでビジュアル優先。遠距離ドライブを苦痛に感じない面々なので移動や時間効率よりも「いかに東京っぽい風景」が撮れるかを求め、一番風景が映える時間帯に到着するように回っている。また1日で回れる距離になるようにあくまで23区内とした。

日中に見て回った場所は、夜になると全景が見えにくい(ライトアップが終わっていない)新国立競技場や、浅草寺、スカイツリーなどが集まる浅草エリア、少し遠出して「寅さんシリーズ」でお馴染みの柴又帝釈天など。

ナイトクルーズ

こんな時期だからだろうか、道は思いのほか空いている。渋滞さえ少なければ東京はドライブにはもってこいだと気づく。

なにせ駐車場はそこら中にあるし、EVモデルに必要な充電ステーションも多い。高速を使わなくても30分走れば次の有名観光地につくことができ、その数が素晴らしく多い。これは他府県にはない東京の強みだろう。

東京の東側を徘徊していると日が傾き始めた。完全に日が落ちると東京の街はがらりと表情を変える。一気に東京らしい風景ばかりになる。

ナイトクルーズ

日が落ちてから回った場所は、昔ながらの寄席「末廣亭」、歌舞伎町へと繋がる大ガード、副都心のビル群がある新宿エリア。スクランブル交差点の様子を見に渋谷エリアに行き、そこから外苑のオリンピック記念館、表参道ヒルズ、六本木ヒルズなどを回る。

もちろんお約束の東京タワーも回ったし、国会議事堂や帝国ホテル、宝塚劇場など、銀座周辺も走り回った。

そして、意外に東京らしい風景が楽しめるのが首都高。レインボーブリッジをはじめ、すばらしい夜景がそこら中で見られる。辰巳パーキングエリアのように、休憩しながら夜景を楽しめる場所もある。

レインボーブリッジ

東京で生活する身で一日東京ドライブ。やってみるとこれはかなり面白い。有名スポットに食事処をセットにして回れば、さらにその楽しみは増す。

東京らしく江戸前寿司、うなぎ、どじょう、天ぷらと限定してもその組み合わせは無限大。数回に分けて楽しむことができるはずである。

東京で暮らしていると「今度東京へ行くけどどこに泊まってどこに行けば?」と尋ねられた経験がある人は多いはずである。オリジナリティ溢れるコースを探すのを兼ねればもっと楽しいのでは……。今度は東京裏メニューとして、意外と知っているようで知らない名所巡りをお勧めしたい。

1回の充電で都内50kmをドライブ(画像4点)

東京都内はインフラ整備が進んでいるため、EVドライブに向いている。現在登録されている充電スタンドの数は約900と言われている。

i3の航続可能距離はモーターだけで約360kmで、他メーカーも400~500kmが多い。一日ドライブ、宿泊地のホテルで充電というパターンでも余裕があるだろう。

ちなみに今回のツーリングで最も距離があったのは東京駅-帝釈天のルートで約19km。撮影を兼ねていたので遠回りをしているが、全部で約100kmほどの走行で済んでいる。

profile
モータージャーナリスト 岡崎 五朗さん

本誌お馴染み自動車評論家。スポーツカーが好物で現在は某ドイツブランドのスポーツカーに夢中。雑誌、TVなど幅広く活動し、様々なモデルの試乗を行っている。

[MEN’S EX 2020年9月号の記事を再構成]
(スタッフクレジットは本誌に記載)

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