気持ちを盛り上げるスタイルと走行性能
オフロードマシンと公道レーサーという一見すると相反する2つのスタイルを掛け合わせたモデルなのだが、そのルックスは意外なほどまとまっていてカッコいい。走るステージは違えど、同じ年代に生まれたカテゴリーだけに、空冷のLツインエンジンを基調とするシリーズの雰囲気と似合うのだろう。
排気量は803cc。最高出力は73PSと、このクラスとしては控えめだが、空冷2気筒ならではの鼓動感があるエンジンは低回転からトルクフルで、楽しいだけでなく十分以上に速い。ハンドルはカフェレーサーの文脈に沿ってセパレートタイプとなっているが、前傾がキツすぎないライディングポジションなので、気負うことなくマシンを操ることができる。
他の「スクランブラー」シリーズはフロントタイヤが18インチなのだが、このモデルだけは17インチのスポークホイールが装備されているので、ハンドリングはシリーズの中ではスポーティ。それでいて、長めのホイールベースは共通なので、バンクさせたところからは安定志向なので安心感も高い。思い切って車体を寝かせて行くことができるが、その先はバイクがフォローしてくれる懐の深さがあるので、体力や反応速度に昔ほど自信がなくなってきた大人のライダーにはちょうどいいスポーティさ加減だ。
それを支えているのは、見た目とは違って現代的なスペックの足回り。フロントフォークは41mm径の倒立式で、ブレーキはブレンボのラジアルマウントキャリパーをダブルで装備している。コーナーリングABSが採用されているので、バイクを傾けた状態でも安心して速度調節が可能だ。
しかし、このマシンの魅力はなんといっても、そのスタイルにある。シルバーとブルーで、フレームまでコーディネートされ、小ぶりなライトカウルを装備したルックスは街中にも似合いそうだが、峠道を流しても意外なほど馴染む。シングルシートのようなカバー(外すとタンデムシートが現れる)を装着したシートにまたがり、バーエンドにミラーを装備したハンドルを握ってコーナーを曲がって行くと、否が応でも気分が高まる。その気持ちをフィーリングの良いエンジンと、許容力の高い足回りがさらに盛り上げてくれるので、街中からワインディングまで楽しむことができそうだ。
休日に街を抜け出し、ちょっとしたワインディングを楽しむショートツーリングに連れ出す。そんな大人の楽しい方が似合うマシンだ。
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ドゥカティ
スクランブラー カフェレーサー
車両価格(消費税込み) 146万6000円
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取材・文/増谷茂樹