次々に登場する最新テクノロジーを搭載したマシンを横目に見ながらも、どこか「グッとくるものがないな……」と感じている大人のライダーも少なくないことだろう。だが、日本にも40年以上の長きに渡って愛され続けているバイクが存在する。ヤマハの「SR400」だ。そんなマシンに試乗し、長年支持され続けている理由を探ってみた。
決して平坦ではなかった40年の歴史
「SR400」が世に出たのは1978年のこと。その頃から、日本製バイクのハイパワー化は加熱しており、現行モデルまで続く「SR400」の空冷単気筒SOHC2バルブというエンジン型式は、その当時にあっても既に古さを感じさせるものだった。パワーを追い求める時代の流れに対して、それとは違うバイクの楽しさという価値を提案するモデルであったことが感じられる。
当時としてもアンダーパワーながら、バイクを操ることの本質を追求したようなシンプルな設計は予想以上の支持を集めた。そして、その後、SRシリーズが歩んだ道のりは他に類を見ないものとなる。初期型ではディスクタイプを採用していたフロントブレーキは、1985年にはドラムブレーキに。2000年には再びディスクブレーキに戻されることになるが、性能的には”退化”とも取れるモデルチェンジがなされたバイクはSRくらいだろう。