同い年コンビの洋服談義
~今シーズン欲しいもの、気になるもの~ 【Part 1】
〈BEAMS F〉バイヤーの村瀬さんと〈Brilla per il gusto〉ディレクターの⼩林さん。同い年でタイプの違う⼆⼈の洋服好きが、今シーズンのアイテムについてそれぞれの視点から欲しいもの、気になるものを語り合うビームスで買えるものだけをご紹介する当企画。バイイングした経緯やアイテムへの拘りはもちろん、仲の良さが垣間⾒られる⾃然体なトークも⾒逃せない!
話し手
〈BEAMS F〉バイヤー
村瀬太郎/Taro Murase @taro_murase
1983年生まれ。ビームス歴18年。ビームスFやビームス 銀座で販売員、ショップマネージャーを経験し、昨年9月から〈BEAMS F〉バイヤーに就任。正統派なドレススタイルから品のある大人のカジュアルスタイルまで、幅広い提案が魅力。
〈Brilla per il gusto〉ディレクター
小林順平/Junpei Kobayashi @junpei_kobayashi
1983年滋賀県生まれ。琵琶湖のほとりで幼少期を過ごし、大学卒業後は洋服の青山に就職。その後、ビームスへ。神戸店のショップスタッフからスタートし、ドレス部門のPRやイベントプランナーを経て昨年9月より現職に就任。着こなしのモットーは「高感度より好感度」。自身のインスタグラムでも日々のコーディネートや洋服への熱い想いを発信中。
⼩林 気温もかなり下がってきてそろそろ本格的な冬突⼊ですね。
村瀬 やっとレイヤードを愉しめる時期になってきたね。
⼩林 洋服が⼀番愉しい季節です。そんな今⽇は秋冬シーズンのアイテムについて、ということですが・・・それにしても何か新鮮ですねこの⼆⼈の並び。(笑)
村瀬 実は同い年だもんね。
⼩林 はい。村瀬さんの⽅が社歴が⻑いので先輩ですが。
村瀬 でもガンガンいじってくるよね。
⼩林 もちろん尊敬の上でです。今⽇もお願いします。(笑) じゃあ早速〈ビームスF〉からですが・・・
⼩林 あ、逃げましたね。(笑)
村瀬 いきなり本命みたいな感じですが、この〈スティレ ラティーノ〉のコートですね。これはめちゃくちゃ格好良いです。
⼩林 ⾶ばしますねー。でもそれは⾃分も気になってました。
村瀬 ⽣地に熱や摩擦を加えることで⽑⽟のような起伏を表現したナッピングウール、所謂カセンティーノの⽣地を⽤いたダブルブレストのコートです。”AIACE”と呼ばれる、ポロコートのようなダブルブレスト型のモデルを採⽤し、そこにほんのりとゆとりのあるサイジングを載せて時代感を取り⼊れました。ブランドらしい⾊気のある仕⽴てはもちろん、グッと男らしく映る襟の表情に、後ろからウエストを引き締めて⾒せてくれるバックベルトなど、クラシカルな重厚感を味わえる紳⼠の⼀着です。
⼩林 渋いですね。カセンティーノって久々じゃないですか?
村瀬 そうですね。⼀時期流れとして出てきていましたが、その時はイタリア的着こなしがメインでした。ただ、カセンティーノ⾃体のルーツはカントリースタイルにあるので、実は今の気分にもぴったりハマってくれます。ブリティッシュムードなジャケット、スーツスタイルにこそ合わせたいですね。
村瀬 次はこのニットかな。〈モルガーノ〉のチルデンセーター。これはパターンから配⾊まで細かく拘って作り上げた、〈ビームスF〉の完全別注アイテムです。
村瀬 ヘリンボーンのボディにチルデンの襟という野暮ったくなりがちなディテールながら、しっとりとした上質なウールカシミヤを⽤いることによって⾮常に⼤⼈っぽく仕上げています。個⼈的にはこの配⾊が最も刺さるポイント。グレーベースのグラデーションにさりげないパープルが都会的な⾊気漂う“グレー”と、ブラウン・ボルドー・イエロー・グリーンという正統派カントリートラッドな“ブラウン”。どちらも違った魅⼒のある表情をしています。
⼩林 これはまさに〈ビームスF〉。そんな印象です。正統派な、かなりトラッドな空気感ですよね。
村瀬 そうですね。今のドレスクロージングの流れ、気分的にもこういったクラシカルなムードのものを積極的に取り⼊れたいと感じています。合わせ次第では新鮮にも⾒せられますし、オーセンティックなものがベースなので飽きることも少ない。ワードローブに加えておいて損はないアイテムですね。
⼩林 村瀬さんならやっぱりグレーですか?イメージ的に。
村瀬 さすが。よく分かってる。(笑)でもブラウンも実は気になっていて、このクサい感じがまた良いんですよね。あまりそういったスタイルをしないので、挑戦してみる意味でも欲しいです。
⼩林 村瀬さんのエンジンがかかってきたところで⾃分⾏きます。(笑)まずはジャケットからご紹介します。
⼩林 こちらは〈ブリッラ ペル イル グスト〉オリジナルの⼀着です。このジャケットの魅⼒はなんと⾔ってもこの⽣地の⾊合い。どうしてもシックな⾊が多くなりがちな秋冬シーズンを華やかに彩ってくれる柔らかなピンクカラー。他のジャケットにはない、こなれた存在感というものが漂います。ピンクと聞くとやや派⼿に思われますが、この⽣地はほんのりとスモーキーな、くすんだトーンのピンクを採⽤しているので、普段のスタイリングにも馴染みやすく仕上がっています。
村瀬 このカラーは〈ブリッラ ペル イル グスト〉らしいと⾔うか、⼤⼈の⾊気がある感じだね。
⼩林 はい。そこが魅⼒です。質感にも拘っていて、〈エルメネジルド ゼニア〉社の”HERITAGE”と⾔うシリーズのものを使っています。このシリーズはブランドの持つ、アーカイブ資料の中から1930年代あたりのテキスタイルを元に、同年代の⽷、組織、デザインを現代⾵にアレンジし、復刻したもの。かといって当時のようなヘヴィーでガシッとした質感は⼀切なく、ソフトでライトウェイトな上品な空気感で織り上げられています。都会的な装いにも映えるような、モダンヴィンテージなルックスが⾮常に気分です。
村瀬 確かに。⾒た⽬と違ってすごく柔らかい。軽い着⼼地でヘリテージなムードを取り⼊れられるのはすごく今っぽいね。
⼩林 続いてこちらのニット。〈グランサッソ〉の8ゲージタートルネックニットです。
⼩林 こちらもかなり細かい部分に拘って別注しました。ブランドのインラインで展開していたものをベースに、襟の表情を僅かに修正しています。イタリア⼈に⽐べ⾸が細い⽇本⼈がオリジナルのものを着ると、ボリュームが出過ぎて⼤袈裟な感じがしてしまう。そこでリブの太さを細く、⻑さも短く取ることで⽇本⼈が着てもきっちりと上品に、そして⼤⼈っぽく⾒せられるようにしました。かなり細かな部分ですが、譲れないポイントですね。個⼈の思いだけでなく、私たちのお客様の顔を思い浮かべてバイイングする。こういったところはビームスらしい拘りかなと思っています。
村瀬 そうだね。その考え⽅は〈ビームスF〉も同じ。アイテム⾃体が格好良いことは前提だけど、それを格好良く着てもらうことが⼀番の使命だからね。
⼩林 さすがです、先輩。
村瀬 このニットはケーブルの表情も良いよね。⼤⼈っぽい⽢さというか、上品なカジュアル感が出てる。
⼩林 流しますね。(笑)こちらは”AIR WOOL”という⽷を使って編み上げているのですが、その仕上げが絶妙なんです。ミドルゲージで⽬を詰めていながらも、しなやかでふわっと柔らかい⾵合い。厚みもそれほどなく、インナーにも難なく合わせられる丁度良い質感を計算して作っています。コートの下にさらっと⼀枚で着るようなスタイルはもちろん、ジャケットのインナーにして温かみのる奥⾏きを演出していくというような着こなしもおすすめです。
村瀬 ⼩林さんもエンジンかかってきたのでちょっとここで⾃分から。こちらは⽣地選定から⾏っている〈ビームスF〉のオリジナルタータンチェックタイです。
村瀬 ⽣地には150年以上もの歴史を持つ英国の⽼舗〈アダムリー〉のシルクを⽤いています。70〜90年代のブリティッシュアメリカンなムードを彷彿とさせる配⾊、デザインはイチから〈ビームスF〉で指定させていただいて起こしたもの。ヴィンテージのアーカイブを元に、細部まで拘って作りました。伝統的なハンドプリントの奥⾏きある柄出しに、もっちりと弾⼒ある50オンスのシルク。ぎゅっとした締め⼼地と美しいノットがクラシカルなVゾーンを魅せてくれます。オーセンティックでいながら今⾮常に気分な⼀本です。
⼩林 良いですよねこれ。しなやかな⽣地と品のあるプリントが綺麗な印象です。こちらもそうですが、今シーズンは様々なアイテムで”チェック”というパターンを使っていますね。
村瀬 そうですね。スーツ、ジャケットからシャツ、タイ、パンツまで。ほとんどのアイテムに落とし込まれ提案されています。ただ、やはり主張がやや強くなりがちなパターンなので、こういったタイなどの⼩さな⾯積で取り⼊れると普段のコーディネートにもすんなり馴染んでくれると思います。
⼩林 じゃあ次は⾃分ですね。とっておきのアイテムをご紹介します。
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ビームスF 03–3470–3946
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