3月 弥生(やよい)
控えめながら上品さもある定番の洗練色【グレー】
江戸時代、贅沢を禁ずる奢侈禁止令のもと、庶民の色とされた「グレー」。そんな背景もあってか(!?)、日本ではバリエーションの多いグレーが今回のテーマだ。最終回となる今回は、その魅力と勝てる使い方を、紹介する。
[STYLE1]着やせ効果のあるコントラストに注目
「グレーとグレーを合わせるなら、こんな風に濃淡をつけましょう。ジャケットを濃い色にして外側から引き締めれば着やせ効果も得られます。アクセサリーを添えるならシルバーが◎」
実は戦後の仕事服の主流であり、日本の成長を支えたとの説も
物事の中間領域を“グレーゾーン”と指すように、グレーは、曖昧、控えめな印象をもたらす。戦後~高度経済成長期に、スーツの色の主流がグレーだったのは、自我や個人の欲求を打ち消す効果があり、仕事に没頭させるのに一役買うからだったのではないか、とも言われる。
グレーの「色彩感情」とは?
控えめ、曖昧、上品
「決して目立つことのない、影や煙の色を連想させるグレーは、まさに控えめな名脇役のための色です。接待などで目立たずホスト役に徹し、主役を引き立てるような場面に向いています。お茶を濁したい場面や、仕事が増えがちな繁忙期に自分を目立たせず、存在感を消したいときにも◎。一方で、控えめさゆえの上品な雰囲気を表現できる利点もあります」
定番色とグレーの相性は?
どんな色とも相性は良好
「グレーは名脇役とされる色なので、どんな定番色とも好相性。ただし、ネイビー、ブラウン、ベージュは、グレーと明度や鮮やかさを揃え、なじませることを心がけ、コーディネートするといいでしょう。また、グレーは濃いと落ち着いた雰囲気に、淡いと若々しい印象を与えるため、目指すイメージに合わせ、濃淡を使い分けて表現するのも素敵です」
グレーで装う時の注意点は?
濃淡で変化をつける
「同明度の無地グレーだけで全身コーデをするのはNG。歩く塀や壁のようになりがちです。グレーで統一するなら濃淡をつけるのが鉄則! アクセサリーや眼鏡など、主張のある小物を添えるのも◎。また、鮮やかな暖色を合わせると、グレーの存在感を消してしまいがち。白黒の同系色や寒色、茶やベージュなら、グレーと調和して魅力を強調できます」