誰もが惚れ惚れするデザイン
実際にモノを見る機会があれば、ぜひディテールを観察してほしいと思う。煌びやかなヘッドライトやメッキアクセントのみならず、ボディサイドのキャラクターラインの鋭さひとつをとっても尋常ではないレベルだ。手の込んだディテールを発見するたびに、その集合体としての価値=高価な車両本体価格も自然と納得させられていく。自分では買うことなどできないとしても。
ミュルザンヌはもとより、先代に比べてもずっとスポーツサルーンイメージを強調した。なかでもリアフェンダー周りのデザインは圧巻だ。真横から見たときの、ルーフラインからエンドピラー、トランクへのラインとフェンダーとの関係性に計算され尽くされたデザイン性があって、惚れ惚れする。アングルを少しずらして後ろ斜めから眺めると、もうほとんどクーペのようで後ろのドアを開けて乗り込もうなどとは思えなくなってしまう。よくできたショーファーカーでもあるのだが。
ひるがえってフロントセクションはオーバーハングを切り詰め大径のタイヤと相まっていかにもドライバーの意思に忠実な動きを見せそうだ。ショルダーライン下の厚みに比べて相対的に薄く見えるグラスエリアもこの三代目をよりスポーティに見せる要因だと言っていい。
インテリア、特にコクピット周りのデザインはベースメカニズムを共有する最新世代のコンチネンタルGTのそれを踏襲した。元々はコンチネンタル・フライングスパーと名乗っていたし、以前はエクステリアデザインの共通点も多かった。フライングスパーと独立した名を持つに至って、共通するイメージはあるものの全く異なるコンセプトのエクステリアデザインが与えられ、一方で人間工学に関連するコクピットスタイルはあえて変更しなかったのだ。