歴史ある高級ブランド「キャデラック」

コンパクトサイズのXT4を導入
アメリカを代表するラグジュアリーカーブランド、キャデラック。
1902年に創業。社名は、本社のあるミシガン州デトロイトを開拓したフランス人冒険家の名にちなんでCadillacとされた。そのパイオニア精神にあやかり、世界に先駆け数々の先進技術を取り入れてきたことでも知られる。いまやあらゆるクルマに搭載されているセルモーターやパワーステアリング、エアコンなどを世界で初めて実用化したのも、キャデラックだ。そもそもはロールスロイスなどにも比肩する超高級ブランドということもあり、歴代のアメリカ大統領の公用車としても採用されている。
2000年代に入るとフルサイズSUVのエスカレードが登場。ブルガリとタイアップした仕様なども登場し、セレブリティ御用達モデルとなった。
最新のエスカレードのボディサイズは全長5382mm、全幅2060mmと、アメリカの道ならいいかもしれないが、日本では少々持て余しそうなもの。そうした時代の要請に応じてキャデラックも、セダンの「CT」シリーズに加えて、新たなSUVシリーズ、「XT」をラインナップすることになった。ラージサイズのXT6、ミッドサイズのXT5に続き、今年1月に国内導入が開始されたのが、同ブランド初のコンパクトSUV、XT4だ。
欧州勢とは異なるデザインに、優れた走りと環境性能
若手デザイナーが手掛けたというエクステリアデザインは、エッジの効いたボディラインを用いた近未来的なもの。ボディサイズは、全長4605×全幅1875×全高1625mmと、コンパクトとはいっても堂々としたものだ。ホイールベースは2775mmを確保しているだけあって、後席は身長180cmの大人が座っても余裕のスペースがある。
インテリアは、インパネ中央に8インチのタッチパネル式ディスプレイを配置。スマートフォンのように直感的な操作が可能で、またステアリング上のスイッチやロータリーコントローラーでも同様の操作ができる。ナビゲーションは常に最新の地図情報が得られるクラウドストリーミングナビゲーションを搭載している。
またラグジュアリーブランドらしくこだわりは細部にも及んでおり、ウッドパネルには本物の杢目材を使い、ステッチ類は人の手によって縫い上げられている。
パワートレインは、230psを発揮する2ℓ直列4気筒ターボエンジンを採用。このエンジンは高速道路でのクルージング時など低負荷時には4気筒のうち2気筒だけを使って走行し、燃料消費を抑制する気筒休止システムを搭載。かつてのアメリカ車というと大排気量で燃費がよくないイメージもあったが、今は昔のこと。欧州プレミアムブランドに勝るとも劣らない環境性能を備えている。
駆動方式は、4WDのみの設定。最近は見た目こそSUVだけれど、中身はFF(二輪駆動)というスタイル重視のモデルも増殖しているが、キャデラックはコンパクトモデルであってもそこは妥協しない。この四輪駆動システムは、通常時はフロントに100%トルク配分し効率を高め、「ツーリング」や「スポーツ」、「オフロード」といったドライブモードや走行状況に応じてリアに50%の駆動力を配分するオンデマンド式だ。また前後アクスル間の駆動力を適切に配分するだけでなく、リアアクスルの左右の駆動力を最適に制御するトルクベクタリング機能を備えた本格仕様で、まるでスポーツカーのようなシャープなハンドリング性能を実現している。