進化を続ける5気筒×4WD
北極圏に近いこの町ではスパイクタイヤの使用が認められており、試乗車もすべてスタッド付きタイヤが装着されていた。まず一般道でスポーツバックに乗った。ドライブモードをオートにしておけば、足回りもしなやかで、コーナーはほとんどロールすることなくクリアしていく。走りだしてすぐに、アイポイントの高いSUVを運転している感覚はなくなった。ブレーキの踏み応えも良好で、雪上であってもまったく不安なく止まることができる。少々荒っぽい運転をしても、大きく滑り出すようなことはない。
後半は標準車で凍結した湖の上に作られた特設コースを走る。ここでようやくRSモデルの本領発揮だ。1周約2.5kmの高速トラックは、100km/hを超えるような高速コーナーと、氷が露出したすべりやすいタイトコーナーなどが組み合わされた周回路だ。ESC(横滑り防止装置)をオフにして、コースインする。電子制御のクワトロシステムは必要に応じて駆動力の50〜100%をリアに配分するが、こうした路面状況では積極的に後輪を駆動する。
コースに慣れてくれば、ブレーキを使ってのターンインやアクセルオフでの荷重移動など、いろんな場面で4輪ドリフトが楽しめる。そして、気持ちのよい5気筒エンジンも専用にチューニングされたステアリングも反応がよく、大きなアングルがついた状態からリカバーもしやすい。さすがはRSモデルを名乗るだけあって、コンパクトクラスとしてはトップクラスのSUVだ。RS Q3&スポーツバックの国内導入は、2020年内後半の予定という。
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文/藤野太一 写真/アウディ ジャパン 編集/iconic