スマートフェットウェアが描くのは「健康寿命」を伸ばすこと!
取得したデータをもとにランニングフォームの分析と採点が行われる。ちなみにライターが1分ほど走ってみての診断は、「かかと着地」「左右左は少ない」「ただし上下に跳ねすぎている」といった結果に。総合評価ABCの中では、Bとなった。
このようにトレーニングごとの効果測定はもちろん、レース中にスマートフォンとにらめっこしながら「左足が内側に倒れこむクセが出てきた」「疲れてストライドが狭まっているので、ふんばってキープ」などと活用できるかもしれない。
アシックスのスマートフットウェアは、まずはランニングシューズにおいて、2020年以降にグローバルで展開されるそう。そのベネフィットはランニングにとどまらず、RUNWALKのようなウォーキングシューズに搭載することも視野に入れられている。日常の生活習慣を半ばオートマティックに計測し、データ化することで、今後たとえば認知症をごく初期に発見するなどの応用が可能になるからだ。
ひとつのキーになるのが歩行速度だそうで、「人間はある一定の年齢になると、ピッチやストライドなどが落ち、歩行速度が下がる傾向にあります」と、ノーニューフォークスタジオ代表の菊川さん。
体力が落ちてくれば、歩行速度が自覚のないままゆるやかに下がりはじめる。スマートフットウェアを通じて歩行速度の低下に早めに気がつくことができれば、あるいは単に若々しく見せたい場合に、歩行速度を改善するためのアプローチが取りやすい。
優れたセンシング技術で有用なデータを集めたとして、大事なのはその先、何をフィードバックするか。たとえば既に運用されている健康体力測定サービス「アシックスヘルスチェック」と連携させて、履き手自身に気づきと「あの生活習慣はこう改めたほうがいい、こういうトレーニングをしたほうがいい」といったアドバイスを送ることも考えているそうだ。それが上手くいっているかどうかの評価もセンシングを通じて適切に行うことができる。
足の運びをデータ化する。これをアシックスだけで独占するのでなく、同業他社や異業種メーカー(たとえば時計など)とも共有して、付加価値のあるサービスを提供する。来たる人生100年時代における健康寿命も延ばすこと、多くの人が歳を重ねても健康的に歩き続けられる世界にすること。それはスポーツの現場だけにとどまらず、アシックスの企業理念に通底する。
とにかく早く、履いてみたい!