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シカゴの街

元々、ミシガン湖とミシシッピ川を通じてカナダや大西洋と繋がるシカゴは、アメロ・インディアン原住民の交易地だった。16世紀からフランスつづいて英国の植民地となり、アメリカ独立戦争後は、水運に恵まれた地勢によって物流の要所となった。今も金融セクターで重きをなすCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)、つまり小麦や大豆など穀物の現物から始まって今日では金融デリバティブをも扱う商品先物取引所が置かれているのも、その名残りだ。

シカゴの街
シカゴの街

1871年の大火によって、シカゴでは現代的な都市の原型といえるモダンな高層建築のラッシュが始まった。やや図式的にいってしまえば、映画「ギャング・オブ・ニューヨーク」的な木造バラックの街並から、20世紀初頭のアメリカでは当たり前になった鉄骨構造をもつレンガやコンクリート造りのモダンな高層ビルへという街景の変化は、シカゴから始まったものだ。鉄とガラスによる高層建築を可能ならしめた工法が、欧州では万博などモニュメントに使われていた時代、シカゴでは増床と効率化という実用本位に用いられた。2019年にドイツでバウハウスが100周年を迎えたが、「形は機能に追随する」と唱えだしたのはシカゴ派の建築家であるルイス・サリヴァンで、その影響は小さくなかった。

「オフ-ホワイト」

実際、シカゴは今も欧州、そして世界をインスパイアし続けている。2018年にルイ・ヴィトンのメンズ部門のアート・ディレクターに抜擢されたヴァージル・アブローは、シカゴ近郊の出身でイリノイ工科大学で建築を学んだ経歴をもつ。ストリート・ファッションをベースとしながら、ミラノで自身のブランド「オフ-ホワイト」を成功させ、故ダイアナ妃にオマージュを寄せたコレクションで注目を浴びた彼は、発言でも挙動でも世界的に注目を集め、旬のデザイナーとされている。

シカゴの街

とはいえ運送や運輸、そして保険やファーストフード産業といった実業ビジネスの基調が強いシカゴは、ロジック的にはビジネス出張ぐらいしか用のなさそうな街なのに、なぜアートや創造の世界でも最先端であり続け、足を運ぶべき街になっているのか? その秘密を探ってみよう。

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