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 20時過ぎ、イベントがスタート。まずはまつあみさん率いる音楽ユニットMZZAMiZM(マツアミズム)のステージ。ベースに早川岳晴、キーボードに中山 努、ドラムスに田中栄二という、実力派プレイヤーのサポートにより、オリジナル曲や、『ズンドコ節』のソウルアレンジなど4曲をプレイ。場が温まったところで、いよいよ『BAKEの皮』がベールを脱ぐ。

新進気鋭のアニメーション作家、有吉達宏さんが制作したPVとともに、レコーディングされた『BAKEの皮』が会場に流れる。社会派な歌詞が、曲とともに徐々に盛り上がりながら展開。モノクロームを基調としたPVでも、その世界観が印象的に表現された。6分を越える力作に拍手が贈られる中、松山 猛さんがステージに登場。まつあみさんのMCで、トークショーがスタートする。

松山さんは、この歌詞に込めた思いをこう語る。

「BAKEというのは、人を迷わせる、お化け的な存在のこと。僕は世界で一番すさまじい嘘は、原子力発電だと思ってる。今の世の中、そんなBAKE的なものに流されたり、捉われたりし過ぎているんじゃないかな。そろそろみんなに気付いて欲しいなあという思いを言葉にしてみました」

BAKEの皮
トークショーでのワンシーン。左が『BAKEの皮』を作詞した松山 猛さん。MEN’S EX本誌では連載「コレクタブル・ウォッチ」ほか、腕時計の記事でお馴染み。右が作曲者のまつあみ 靖さん。M.E.では表紙の人のインタビューや、俳優・中井貴一さんの不定期連載「好貴心」の構成などを手掛ける一方、ミュージシャンとしての顔も持つ。

トークは、『BAKEの皮』から、『イムジン河』や『帰ってきたヨッパライ』にも展開。コミックソングと捉えられがちな『帰ってきたヨッパライ』にも、社会的なメッセージを込めていたという。

「60年代に、日本でもモータリゼーションが始まった頃に書いたもの。裕福な家の子だった同級生が、スポーツカーを買ってもらった途端、事故を起こして亡くなってしまってね。これからこういう恐ろしいことが起こる時代になっていくんだなという思いを込めた、一種の警鐘という面もありましたね」

メッセージをオブラートに包みながら巧みに伝える、松山さん一流のやり方は、『BAKEの皮』にも生きていると言えるだろう。また、まつあみさんから「『BAKEの皮』は、なんとなくピンク・フロイド的なイメージで作曲した」という発言があると、松山さんは、ピンク・フロイドのプロデュース・チームのピーター・ジェナーなる人物と懇意になり、ロンドンでよく交流したという話も披露。また、デヴィッド・ボウイの撮影に立ち会ったエピソードや、往年の表参道・原宿あたりの雰囲気など、興味深い話題が次々と繰り出された。

BAKEの皮
ライブでは『BAKEの皮』はもちろん、『イムジン河』『帰ってきたヨッパライ』『タイムマシンにおねがい』など、松山さんの名曲カバーも演奏された。

後半のステージでは、再びMAZZAMiZMが登場。松山さんと旧知のジャズシンガー、深山エダさんもゲスト出演し、華を添えた。バンドによる『BAKEの皮』に続いて、『イムジン河』のリズムアレンジバージョン、『帰ってきたヨッパライ』のレゲエバージョン、『タイムマシンにおねがい』など、松山さんの名曲カバーをプレイ。大いに盛り上がる中、アンコールで再度『BAKEの皮』を演奏して幕となった。

腕時計だけでは語り切れない、松山 猛という人物の魅力を、楽しみながら再認識するイベントライブだった。

松山さんが作詞家として久々に世に問う、この『BAKEの皮』。iTunes、Amazon.co.jpをはじめ、ほとんどの音楽配信サイトからダウンロード可能(どのサイトでも、だいたい200円)。サブスクリプションサービスによりストリーミングでも利用できる。興味のある方は、ぜひ聞いてもらいたい。

BAKEの皮

『BAKEの皮』

作詞:松山 猛 作曲:まつあみ 靖

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