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———若き日の西郷が大きな影響を受ける薩摩藩主、島津斉彬公役は渡辺謙さん。どんな刺激が?


鈴木: 顔合わせの挨拶のときに、「鈴木にひと言だけ言って終わりにします。お前は何も気にせず、前だけ向いて突っ走って、前のめりに転んでもいい。それを俺らが全力でサポートする」と言って頂き、そのあと「お前とはしばらくしゃべらないからな」と耳打ちされたんです。主君と下級武士という関係ですから、そこまで徹底されていたんです。役者としてはもちろん、共演者やスタッフ一人一人に気を配り、張り詰めた緊張感がありながら、いつも現場では穏やか。人間として本当に器が大きい、尊敬できる大先輩に出会えたことはすごく幸せだと思っています。


——そんな大先輩も含め、大河ドラマの主役を務めるリーダー的心構えや、プレッシャーは?


鈴木:撮影に入る前に、大河に出演された方に、なるべくたくさん会って、心構えを教えて頂きました。その結果、自分の信条でもあるんですが、無理して格好つけても全然うまくいかないし、バレるだろうな、と思いました。なので、いろいろな人から勉強させて頂き、徐々に人間力をつけていけばいいかなと思いました。撮影が始まってからも、あまり気負わず、みなさんと愛情を持って接することを心がけています。西郷さんも「敬天愛人」というモットーを持っていて、人を愛することを大切にしていたんです。僕自身キャリアは短いほうですし「俺についてこい!」とやっても無理なので、むしろ周りから助けられるリーダーになれればいいかなと思っています。


———このドラマを撮り終えたとき、どんな成長を思い描いていますか?


鈴木:確実に言えるのは、人生の中で、ものすごく大きな宝物を頂けるだろうな、ということですね。役者としてのスキルとかではなくて、もっと大切な人生の思い出というんでしょうか。他人の人生を生きられるのって、役者じゃないとできないことだと思うので。大半の作品は数ヶ月間、別の人の人生を生きるわけですが、大河の場合は1年以上にわたるので、それはもうたまらない思い出になると思います。その生きた手応えが欲しい。その結果、役者としても人間としても、何か大きく成長していられればいいなと思いますね。

「無理せず格好つけず、
周囲に助けられながら、人間力をつけていきたい」


鈴木亮平 Ryohei Suzuki
1983年兵庫県生まれ。2007年森田芳光監督作品『椿三十郎』で映画初出演。2014年連続テレビ小説『花子とアン』で、ヒロインの夫役を務め、話題となる。現在、大河ファンタジー『精霊の守り人最終章』が放送中。6月8日に映画『羊と鋼の森』が公開予定。世界遺産検定1級を取得というユニークな一面も。 公式Twitter@ryoheiheisuzuki

大河ドラマ『西郷どん』(c)NHK

大河ドラマ『西郷(せご)どん』
明治維新から150年を迎える2018年の大河ドラマは、維新の英雄、西郷隆盛をフィーチャー。歴史の表舞台で活躍する以前の人間味溢れる、その人生にも光を当てる。原作・林真理子、脚本・中園ミホという女性クリエイターの視線で描かれる西郷像にも注目が集まっている。共演に瑛太、黒木 華、錦戸 亮、二階堂ふみ、北川景子、渡辺 謙ほか。1月7日より放送開始。





[MEN’S EX 2018年2月号の記事を再構成]
撮影/谷田政史(CaNN) スタイリング/葛西信博 ヘアメイク/宮田靖士(THYMON Inc.) 文/まつあみ 靖

※表示価格は税抜き

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