次に選んだ靴職人の道
挫折があった一方で、中川さんは洋服のお直しには自信があり、手を動かす仕事は楽しいと感じていた。そんな自身の気持ちもあって、中川さんは26歳で靴職人の道へ進むことになる。
「デザイナーになる夢が破れたあとでしたから、正直に言うと靴修理の会社に就職したときは、前向きな気持ちではありませんでしたね」と語る中川さんだが、仕事の中には喜びを感じる場面があった。
運よく、中川さんが配属されていたのがオールソール(靴底の全面張替え)の担当。
「仕事をしていると、100足に1足くらいチャーチなどの高級靴が回ってくるんです。そのころ、雑誌で靴の構造については情報を得ていましたけれど、やはり実物を見られるのは感動でしたよ。知識としてしか知らなかった高級靴を自分の膝と手の中で見て、バラして組み上げられるわけですから。『本当にコルクが入ってるんだ』なんて思ったことも覚えています」
コラム:工場に潜入!職場を拝見
中川さんの仕事風景や愛用の道具をご紹介。普段見ることのできない作業の様子をじっくりとご覧あれ。