南半球ニュージーランドで
人生を変える“絶景”夏スキー

2024年の8月、星野リゾート代表・星野佳路さんの姿は日本とは季節が逆の南半球はニュージーランドの南島にあった。目的は絶景を眺めながらのスキーと、スキーを通じた人々との交流。ゲレンデでの出会いが仕事や人生のヒントになることもあると話す星野さんに14年以上毎年通うNZスキーの醍醐味を教えていただいた。

「目標は年間100日滑走!」
星野リゾート代表 星野佳路さん
1960年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。’91年星野リゾート代表取締役社長に就任。2012年よりHGSC(星野グルメスキークラブ)主宰。写真のスキー板のシールは星野さんがデザインしたクラブのロゴマーク。
雪山の話からビジネストークまで
スキーを通じて広がり、深まる世界中のキーパーソンとの交流

ニュージーランドは電力の86%を水力、風力、太陽光などのグリーンエネルギーで賄っていることなど、星野さんとマットさんの話は多岐にわたった。
海外での滞在で、星野さんがスキーと同じくらい楽しみにしているのが地元の人たちとの交流だ。「リフトで乗り合わせた人に話しかけたり、かけられたり、はよくあります。僕がヘルメットやスキーの板に貼っているシールを見て、『日本からか?』と声をかけてくれる人も少なくありません。それを期待して貼っているんですけどね」。社交的な星野さんはスキーを通じて世界各地のキーパーソンとつながり、経済界にネットワークを培ってきた。
「フランス、アメリカ、カナダなど、それぞれのスキーリゾートに価値観が合い、尊敬できる仲間がいます。彼らとは会うと情報交換をし、日本に来たときは僕がスキー場に案内するという間柄。そういうことの積み重ねが関係性を深めているのだろうと思います」。

ニュージーランドにもそんな仲間がたくさん。「バンジージャンプ」の共同発案者で起業家のヘンリー・ヴァン・アッシュさん、名門ワイナリー「フェルトン・ロード」オーナーのナイジェル・グリーニングさんと息子のハーミッシュさん、行列の絶えないハンバーガー店「ファーグバーガー」経営者のアンソニー・スミスさんなど、独自の発想で道を切り拓いてきた人たちばかりだ。
この日、1年ぶりに再会したマット・ウッズさんもそうした一人。クィーンズタウンの経済、文化、人々の交流、自然環境をよりよくするため、「リジェネラティブ(再生)」をキーワードに数々のプロジェクトを推進している。

マットさんはまた、交通渋滞の緩和と排ガス抑制のため、ワカティプ湖に電動ボートを、その上空にゴンドラを導入するという大プロジェクトを企画中。熱く語るマットさんの話に星野さんも興味津々、二人とも少年のように目を輝かせていた。
スキー仲間のご縁でワイナリー訪問も定番に
FELTON ROAD(フェルトン・ロード)
ピノ・ノワールの名門

世界最南端のワイン生産地の一つ、セントラル・オタゴの中心部に位置。ピノ・ノワールの評価が高く、特に幻ともいわれる「ブロック3」「ブロック5」は愛好家垂涎の的だ。見学後、5種類ほどのワインのテイスティングができる無料ツアーはおすすめ。
Sato Wines(サトウ・ワインズ)
情熱溢れる日本人夫婦が営む注目ワイナリー

「フェルトン・ロード」などで研鑽を積んだ佐藤嘉晃さん、恭子さんご夫妻が経営。有機農法で栽培した自社農園のぶどうを自社で醸造し、日本を含め16ヶ国に輸出している。現在は見学不可。
Cardrona Distillery(カードローナ蒸溜所)
眺望抜群のレストランも評判

本場スコットランドとアメリカでウイスキーづくりを学んだオーナーが2015年に創業。カードローナ山の伏流水とカンタベリー産の大麦、地場のハーブからつくるウイスキー、ジン、ウォッカ、リキュールは個性豊か。レストラン、ショップも併設されており、テイスティングを含めたツアー(25NZD〜)は毎日開催している。
[MEN’S EX Winter 2025の記事を再構成]
※1NZD=91.18円(2024年11月5日現在)。日本との時差は通常は+3時間。