世界一“安全”なスポーツカーを目指して
前回、御大が「ピュアなスポーツカーはバルケッタスタイルに限る」と大いにこだわったというお話をした。このこだわりにダラーラ社のマネージメントを司るポントレモリCEOはさすがに考えたという。ドアも無ければ、ルーフどころかウインドスクリーンもないクルマはいくら何でもストイック過ぎる。顧客からは、雨が降ったらどうするなんていう質問が来るのは間違いない。そこで、エンジニアたちが熟考を重ね生み出したアイデアが、ポリカーボネート製のウインドスクリーン、Tバールーフ、左右のガルウィングドアをオプション設定するという方式だ。ニーズによってボディ形状をトランスフォーム可能としたことで、“ウインドスクリーン・レス“へのこだわりを持つ御大もそのプランを認めざるを得なかったという。(注:ウインドスクリーンの脱着には工具等が必要となる)
御大にはじめてインタビューした時のことは今でも覚えている。モデナでは有名な“F1神父”と呼ばれた故マントバーニ神父の古い本を取り出して、こう語ってくれた。「あなたがモデナをよく知っているなら、この本を知っているでしょう。そう、“レースで命を落としたドライバーたちに捧げる”です。私は自分の会社を作る前にこういった悲惨な現場を幾度となく見てきました。ですから、私は速いだけでなく、世界一安全なスポーツカーを作ることを目標としました。これがダラーラ社の考えなのです」と。
フォトギャラリー(画像6枚)
まさしくこの想いはこのダラーラ ストラダーレへ正しく受け継がれている。F1マシンに匹敵する剛性を持つダラーラ ストラダーレのシャーシによって、どんな場においてもあなたの安全は担保されることであろう。アマチュアドライバーがたまにサーキットを楽しむクルマであるからこそ、このこだわりは価値があると考える。
この一つのモデルのために自動車製造部門と製造施設を作り、ハンドメイドされるダラーラストラダーレ。かなりの数が顧客に手に渡り、販売可能な台数もごくわずかとなっているようだ。ユニークを極める市販ロードカーとして決して安価ではないものの、楽しめること請け合いであり、自動車史に残る一台であることは間違いない。
関連記事一覧:時代を造ったクルマたち
文・写真=越湖信一 EKKO PROJECT 写真=ダラーラ 編集=iconic












