BEV専用アーキテクチャーを採用する“ワールドカー”
7月中旬、栃木県栃木市にあるGKNドライブライン プルービンググラウンドにて「Volkswagen Tech Day(最新BEV試乗体験会)」が開催された。ちなみにGKNとは、英国に本社を置く自動車用駆動系部品の世界的なサプライヤーであり、プルービンググラウンドとは、いわゆるテストコースのこと。この日は特別にこの場所で試乗することができた。
フォルクスワーゲンの最新BEVといえば、2022年11月に日本に上陸した「ID.4」だ。2023年以降生産モデルは、制御にかかわるハードウェアおよびソフトウェアの改良により、バッテリー容量に変更はないものの航続距離がのびた。
グレードは、バッテリー容量の違いによって2種類が用意されている。容量77kWhの「Pro」は、一充電走行可能距離が従来モデルの561kmから618kmに、また容量52kWhの「Lite」は388kmから435kmへと延伸している。
出力は「Pro」が最高出力204ps、最大トルク310Nm、「Lite」は170ps/310Nmとなっており駆動方式はともにリアにバッテリーを搭載し後輪を駆動する。
「ID.4」の最大の特徴は、電気自動車専用に新開発されたアーキテクチャー「MEB」を基本骨格とすること。専用アーキテクチャーになると何がいいのかといえば、まず重くてかさばるバッテリーを車台の中心に置くことを念頭に開発されており、理想的な配置が可能。結果として前後の重量配分もよくなる。内燃エンジン車では必要なプロペラシャフトや排気システムが必要ないので、フロアをフラットな形状にできる。駆動は内燃エンジンに比べてコンパクトなモーターが担うため、オーバーハングを短くすることができ、ロングホイールベース化が可能。フラットなフロアともあいまって広い室内空間を確保できるといったさまざまな利点がある。
実際にティグアンとボディサイズを比べてみると、全長はティグアンが4520mmに対して、ID.4は4585mmと65mm長いが、ホイールベースはさらに長く、2675mmに対して、2770mmと95mmも拡大している。これがID.4に外観からイメージするよりも広い後席空間をもたらし、高速走行時に直進安定性を高めている。