30年ピッティに通ったUA栗野さんがいま、「日本のクラフトマンシップ」注目する理由

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[J∞Quality]
30年以上、メンズファッションを見てきた栗野さんはなぜ
日本のクラフツマンシップに注目したのか?

あの栗野宏文さんが、ピッティで“日本のものづくり”を語るらしい──そんな報せを受けて、現地でご本人を直撃! ファッションの第一人者が見るジャパン・クラフツマンシップの魅力とは?



“ギブミーチョコレートの時代は終わった”──栗野さん

栗野宏文さん

偶然の符合から生まれた日伊の新たなリレーション

M.E. 1月に開催されたピッティ(毎年1月と6月にイタリアのフィレンツェで行われるメンズの国際的トレードフェア=ピッティ・イマージネ・ウォモ)でのシンポジウム、大変興味深く拝見いたしました! M.E.の公式インスタグラムにもアーカイブを残しておきましたので、読者の皆様にも是非ご覧いただきたいと思います。講演のテーマは、「イタリアと日本のクリエイションとクラフトマンシップ」。ちょうど当号のメイン企画で“クラフツマンシップ特集”を進めていたところでしたので、これはもっと深くお話を聞かねば! と押しかけてしまった次第です。

栗野 それは奇遇ですね。お役に立てればなによりです。

M.E. ありがとうございます。もともとカルーゾのデザイナーも務めていたアルド・マリア・カミッロが立ち上げた新ブランドで、日本の「J∞Quality」(注:織布・編立、染色整理加工、縫製、企画・販売のすべてを日本で行った衣類に与えられる“純国産”の認証)に名を連ねるファクトリーが生産を手がけているのが特徴です。

M.E. まさに「イタリアのクリエイション」と「日本のクラフトマンシップ」の融合というわけですね。

栗野 おっしゃるとおり。アルドとは以前から知り合いで、ある日「自分のブランドを進化させたい」と相談を受けたんです。テーラリング畑の出身者なので、やはり仕立てのよさにはこだわりたいわけですが、イタリア製だと正直、価格が厳しい。それで、日本の中でも傑出した技術力をもつJ∞Quality認証ファクトリーがいいのでは?と薦めたんです。彼らとはユナイテッドアローズで以前からお付き合いがありまして、その優れた技術力を信頼していましたから。そして偶然なことに、J∞Quality側も近年、“日本の技術力を世界に発信したい”と思い描いていたそうなんです。聞けば「海外で展示会を開催したいが、どこで行うか迷っている」とのこと。それならやっぱりピッティが最適でしょうということで、彼らをピッティ協会に推薦しました。で、めでたく今回「J∞Quality factory brand project」として出展が決まったわけですが、そこにちょうどAMCのローンチが重なった。ならば、同じブースにAMCも参加させていただくのはどうか? と打診したところ、二つ返事で快諾いただいたというわけです。

世界の一流バイヤーもその出来ばえに唸った!

M.E. 偶然が重なったというわけですね。AMCの展示は多くの海外バイヤーに注目されていたのが印象的でした。

栗野 ベルリン屈指の名店といわれている「ムルクディス」からも発注いただきました。実はピッティに先駆けて日本でも展示会を行ったのですが、名だたるセレクト・ショップ達が買い付けてくれて好評でした。イタリアン・デザイン×メイド・イン・ジャパンという掛け合わせは、国境を超えて評価いただいていると感じています。

メイド・イン・ジャパンが世界標準になる未来

M.E. 栗野さんから見て、日本の服作りの魅力はどんなところですか?

栗野 もう何十年もこの仕事をしていて、日本製のクオリティはよく理解しているつもりなんですが、それでも唸るような出来のものが登場します。非常にポテンシャルが高いですね。とはいえ自分にとって日本製のものは長年親しんできたもので、いってみれば当たり前のものなんです。今日の服装も全身日本製のものですが、特にそれを意識したわけでもないし、誇示するつもりはない。イタリア製、アメリカ製、イギリス製、日本製……それぞれにいいところがあるわけですから、フラットな目線で親しむのがいいと思います。ただし世界目線で「良い服を作ろう」と思った際にイタリア製と並ぶ立ち位置に日本製を持っていきたいとは思っています。

M.E. ひと昔前まではインポート信仰が根強かったですが、今はそのあたりが平等になりつつあるということですね。だからこそ、世界へ向けて日本のクラフツマンシップの魅力を発信できる時代になったとも感じます。

栗野 そうですね。語弊があるかもしれませんが、“ギブミーチョコレート”の時代は終わったと思います。海外の優れたものを享受するだけでなく、これからは自分達も日本ならではの価値や技術を世界へ提供していく時代だと。日本の刃物とか時計なんかは既に世界的評価を確立していますけれど、服作りもそうなれる可能性は十分あると思いますね。

ピッティ ウォモで特別イベント開催

「イタリアと日本のクリエイションとクラフトマンシップ」についてのトークセッションも大盛況!

左から鈴木正文さん、ジャンルカ・カンターロさん、栗野宏文さん

左から、GQ JAPAN元編集長の鈴木正文さん、ジャンルカ・カンターロさん、ユナイテッドアローズ上級顧問 クリエイティブディレクション担当の栗野宏文さんが登壇した。

ピッティ会場内のホールを貸し切って行われた講演

ピッティ会場内のホールを貸し切って行われた講演に世界のジャーナリストが参加。その全容は、M.E.公式インスタグラム@mens_exのアーカイブで視聴可能。是非チェックされたし!


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