>> この記事の先頭に戻る

ムーブメントのしくみ

脱進機のしくみとは?

脱進機は、テンプと並ぶ機械式時計のキーパーツのひとつ。テンプの振動に応じて、輪列機構と香箱の回転数を制御する。





[脱進機の役割]

ガンギ車とアンクル 脱進機の役割

ゼンマイ仕掛けのオモチャが一気に動いてすぐ止まってしまうのに対し、機械式時計は正確なリズムで長時間動き続ける。これはテンプの振動を受けて働く脱進機が制御しているから。さまざまな構造の脱進機が考案されてきたが、腕時計ではごく一部の例外を除き、歯がカギ型のガンギ車とT字型のアンクルを組み合わせたスイスレバー脱進機が用いられている。これらテンプ、ガンギ車、アンクルによる機構全体は調速脱進機と呼ぶ。


脱進機のしくみ

基本輪列と調速機、両者の動きを連結?

脱進機は、基本輪列とテンプとの中間に位置し、それぞれの機能を連結する役割を果たす。チクタクという音は、脱進機が働いている証。





ゼンマイの巻き戻りを制御

ガンギ車のカナは、基本輪列の終端に位置する。輪列の回転を制御しなければ、ゼンマイに蓄えた力は一気に放出されてしまう。それにストップをかけるのがアンクルだ。

脱進機のしくみ
ツメ石は歯先から滑るように外れるため、両者の間に注油は不可欠。また近年では、ひげゼンマイと同じく脱進機をシリコン製とするメーカーも増えてきている。

上図では回ろうとするガンギ車を、その歯先に当たるアンクルの右側のツメ石が止めている。そして右方向に振動するテンプの振り石がアンクルの竿先にある二股部分(クワガタ)の左側に当たると、アンクルはシーソーのように左に傾き、ツメが歯先から外れてガンギ車が回転する。しかし即座に左側の爪が歯先に当たって止めるため、ガンギ車は1歯分しか回れない。そしてテンプが左方向振動に転ずると再びツメ石が外れ、続いて右側のツメ石が止める。これを繰り返し、ガンギ車の回転はテンプの振動数で制御され、その先にある駆動輪列の回転速度を一定に保つ。

またアンクルのクワガタはガンギ車からの駆動力を受け、振り石を蹴り、テンプの振動を促す役割も担う。

 

もっと知りたい方はこちら!

腕時計のしくみ 表紙画像

『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』
特別定価 :1,980円(税込み)
発⾏・発売:株式会社世界⽂化社
購入は こちら

※表示価格は本書発売時(2022年12月18日現在)の税込み価格です
  1. 2
LINE
SmartNews
ビジネスの装いルール完全BOOK
星のや
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE
pagetop