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創業者が始めた消費者心理を煽る戦略

1987年にフェラーリ創業40周年を記念して生産されたF40
多くの名モデルを生み出してきたフェラーリ。その代表的なモデルが日本でも有名なF40。1987年にフェラーリ創業40周年を記念して生産され、日本ではバブル期に当たったため新車価格約4650万円だった価格はプレミアが付いて2億を超えたこともあった。

イタリアのスポーツカーブランドであるフェラーリは、数ある自動車メーカーの中でも特異な存在と言える。歴史はメルセデス・ベンツやアルファ・ロメオといった古豪には及ばないものの、ブランド価値は今も昔も常に世界一と謳われている。

それはフェラーリの価格を見れば分かりやすい。例えば、古いクラシックモデルまでを含めると、過去最も高値を記録した自動車はフェラーリ。2018年、250GTOという1960年代に作られたモデルは海外オークションにて日本円にして約76億円という価格で売買された。現在もその金額は更新されていない。

1984年に発表されたV12エンジン搭載モデルであるテスタロッサ
フェラーリにプレミア価格が付いたエピソードに必ず登場するのが1984年に発表されたV12エンジン搭載モデルであるテスタロッサ。こちらもF40と同様に、次々に値段が高騰。テスタロッサという名前はイタリア語で「赤い頭」を意味するもので、エンジンのカバーが赤く塗られていることを表している。

また、世界的な半導体不足、世界情勢で新車デリバリーが大幅に遅れている昨今、フェラーリの最新モデルは新車+数千万円という驚きのプレミアム価格で市場に流通している。それだけのお金を出してでも欲しいと思わせる、これは他のブランドにも似た傾向あるものの、ここまで高値をつけるのはフェラーリだけの現象である。

その成功の要因となっているのは、買いたい人の数に対して1台だけ少ない台数を生産するという、創始者エンツォ・フェラーリの言葉から生まれていると言われる。

100人が欲しがるクルマなら99台だけを作り、買えなかった人の購買意欲を煽るというやり方は、現代においてはさほど珍しくないかもしれないが、1947年創業直後からフェラーリはいち早くそれを実践し、現代も続けているのだ。

フェラーリ

新車のフェラーリが欲しいけど今は買えない…だったら高値でも買えるクルマを…顧客にそう思わせることができるブランド。限定品と同じで、お金を出しても買えない状況を作ったこと、これこそがフェラーリの人気を支えている。

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