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自社でジャージーを縫える数少ないシャツメーカー

ミラノから北東へ約40km、ロンバルディア州の中部に位置するベルガモ県のヴァル セリアナは古くから織物産業で栄え、現在も“シャツの街”としての面影を残す。そんな同地を代表する企業として、地元の人々から尊敬を集めているのがシャツメーカー「V.&V.」社だ。その起源は1973年、ジャンパオロ・ヴァロティとアレッサンドロ・ヴァロティの兄弟が自宅で始めた小さな工房に遡る。ボタンひとつ、糸1本までこだわるシャツ作りはすぐに評判となり、 ’80年代にはOEMファクトリーとして発展。そのノウハウを活かして始動させたのがソンリーサである。

仕立てのレベルも極めて高い。
本格ドレスシャツがルーツゆえ仕立てのレベルも極めて高い。

「世界的なカジュアル化により、目下シャツメーカーは軒並み苦戦を強いられていますが、ソンリーサは数少ない例外。日本を含む海外からも注文が相次ぎ、本社は活気にあふれています」と語るのは、ソンリーサの輸入代理店を務めるSDIの大橋崇弘さん。Tシャツやニット全盛の今、なぜそこまでの好況を維持できているのだろうか?

「ジャージー素材によるシャツが世界的な成功を収めていることが大きいですね。ジャージーシャツというと無地やストライプなど定番的な色柄に限られるのが一般的ですが、ソンリーサでは非常に広いバリエーションを展開しています。アルビニやトーマスメイソンといった生地メーカーにも特注のジャージー生地を作らせていて、独自性も際立っていますね。実はソンリーサ、ジャージーを自社で縫製できる数少ないシャツメーカーなのです。ジャージーは編み地ですので、シャツメーカーにとっては極めて扱いにくい素材。ブランドによってはニットメーカーに外注して製作することも少なくありません。そうすると当然、本格シャツの仕立ては実現できませんが、ジャージー生地の自社縫製が可能なソンリーサなら本格仕立てとジャージーの快適さを両立できるというわけです。これが世界的に評価されている理由ですね」

さらに今回はソンリーサの秘密をより深掘りすべく、オーナーのルイジにメール取材を敢行。

多彩な生地バリエが揃う
多彩な生地バリエが揃うのは大規模シャツブランドならでは。

「用意したジャージ生地はすぐに裁断せず、テーブルに広げたのち12時間以上寝かせています。こうすることで伸縮性が安定するのです。縫製も腕利きの熟練職人が担当し、ミシンも専用に改造しています。実は縫製する糸にも独自の工夫を凝らしていて、あらゆる視点から品質を高める努力をしているのです」そう秘訣を明かすルイジの様子は、メールの文面からもわかるほど自信に満ちていた。

ジャージーなのに本格という、ありそうでなかったシャツ作り。それは他社には決して真似できない、静かな革命なのである。

Teacher

SDI 部長 大橋 崇弘さん

SDI 部長
大橋 崇弘さん
ソンリーサやグランサッソ、シーラップなどを輸入するSDIの営業担当。イタリアにも度々渡航し視察を行う。



[MEN’S EX 2022年4月号DIGITAL Editionの記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み

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