>> この記事の先頭に戻る

ブリヂストン 取締役代表執行役 Global CEO 石橋秀一さん

加藤 お互いのカルチャーの中でのぶつかり合いや、いわゆる西洋文化の中での経営は、難しいものがありましたか?

石橋 まさに西洋と東洋の文化は全然違いましたし、当時のブリヂストンの社長は「僕らではグローバル経営の実力はない。今から学ぶのであれば、若い社員がやるべきだ」というスタンス。だからこそ僕も送り込まれたわけですが、買収後もファイアストンの経営メンバー31人を残していたんです。しかもファイアストンの経営が順風満帆ならまだよかったんですが、買収時から大赤字で、数年後の’91年にはついに500億円もの赤字を出して、「日本企業で史上最大の買収」は一転して「史上最大の買収失敗」と世間に叩かれました。ただ、当時は日本の銀行が強かったので、何とか助けてもらうことができたのと、会社を21に分社化するという改革をしたんです。その上でそれぞれの市場をよく見て、タイヤを創って売るという基本にフォーカスし、拡売とコストダウン、経費をマネージするということをやっていきました。

加藤 どなたが陣頭指揮をとられたんですか?

石橋 海﨑洋一郎という当時の常務がアメリカにトップとして赴任してきたんですが、僕が日本で経営企画にいるときにファイアストンの買収を「そんな割に合わないことはやめた方がいいんじゃないの?」と社内で唯一反対した人でもありました。『ウォール・ストリート・ジャーナル』が「海﨑は英語を喋れないけれど、ビジネスは分かる」と評したり、キャリアからしても実はタイヤのことは担当外だったのに、本当に鋭い方でした。そこから経営メンバーには全員辞めてもらい、逆にピックアップした40代の中堅どころには残ってもらいました。そこに日本から送り込まれた僕をはじめ何人かの若手社員のハイブリッドで「新しいカルチャーを作るぞ!」と号令をかけたわけです。その結果、2年後の’93年には黒字化し、海﨑は日本に戻って6代目の社長になりました。

加藤 わずか2年で立て直すことができたのはなぜでしょうか?

石橋 500億円の赤字というのは、1年365日に落とし込むと1日1億円以上になるわけですけど、昼間はぶっ通しで仕事をして、夜になって海﨑と酒を飲むと必ず「今日もまた1億円飛んでいったぞ」と言われるんです。

加藤 海﨑さんからそういう言葉で発破をかけられたことで、スピード感に繋がったんですね。

石橋 1日でも早く解決すれば、自ずと1億円が浮いて、そのお金でやりたいことができると思うと、気合が入りませんか(笑)?

加藤 本当ですね(笑)。



乗用車用スタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX3」

「曲がる、止まるは、新たな次元へ。」
乗用車用スタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX3」が新登場

「BLIZZAK」は、1988年に誕生したブリヂストンを代表する冬用タイヤブランド。9月に発売した「BLIZZAK VRX3」は、冬のさまざまなドライブシーンにおける安心・安全を足元から支えることを目指し、従来品の高い総合性能はそのままに、「断トツ」の氷上性能を実現。独自技術により発泡ゴムをさらに進化させた素材「フレキシブル発泡ゴム」と新トレッドパタン(溝の模様)を採用することで、従来品に比べ、氷上ブレーキ性能が20%向上している。(ブリヂストン お客様相談室)

後編に続く

※表示価格は税込み
[MEN’S EX Winter 2022の記事を再構成]
撮影/前 康輔 スタイリング/後藤仁子 ヘアメイク/陶山恵実 文/岡田有加(81)

  1. 2
LINE
SmartNews
ビジネスの装いルール完全BOOK
星のや
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE
pagetop