11月下旬に行われた「ブルックラディ×MEN’S EX ONLINE」のオンラインセミナー。今回はゲスト講師にレミー コアントロー ジャパンのウイスキーブランドアンバサダー、ジャック・チェンバース氏を迎え、ブルックラディ蒸留所の歴史と未来、味わいの特徴について教えていただいた。
スコッチウイスキー造りの常識を覆す「テロワール」への思い
ブルックラディ蒸留所は1881年に創業したものの、1994年からは操業停止や閉鎖を繰り返し、2001年に奇跡の復活を遂げた。それ以来、現在に至るまで蒸留所が重視しているのが「テロワール」である。
「テロワール」はその土地の個性や土壌の特徴を意味する言葉として、しばしばワインの世界では使われてきた。アイラ島を本拠地とする、ブルックラディ蒸留所が重視するのもこのテロワール、すなわち「アイラらしさ」である。実は現在の規定では「アイラモルト」「アイラウイスキー」と名乗れるウイスキーは、「アイラ島で蒸留された」ウイスキーであれば、よいのだ。この慣習に対して、ブルックラディ蒸留所の姿勢はまさに一石を投じるものといえよう。
ブルックラディ蒸留所は「アイラ産の大麦」「アイラ島での熟成」など、アイラ島の中でのウイスキー造りを基本としている。テイスティングでは、4種のウイスキーを試飲。まずは、ブルックラディのフラッグシップ、「ブルックラディ ザ・クラシック・ラディ」から。アイラ島の湧水を使用し、蒸留からボトリングまでアイラ島で行われているのが特徴だ。
アイラモルトと聞くと、ヨード香のようなピート由来の強い香りがするウイスキーを思い浮かべる方も多いだろう。だが、こちらはノンピート。「アイラのテロワールを感じてもらうためには、ノンピートの方がよいのです」とジャック氏は説明する。アルコール度数は50度と高めだが、非常にフルーティーで華やかな香りに包まれて、ストレートで飲んでもその度数の強さを感じることはない。
参加者からはその鮮やかなボトルの色の由来についての質問もあがった。ブルックラディとは、ゲール語のBRUICH=丘、LADDICH=海辺、に由来する。実際、蒸留所は海沿いの丘に位置しており、ラディ・ブルーと称されるこのボトルの色は、晴れたときのアイラ島の海の色にインスパイアされたものだそうだ。