
初代からのDNAを受け継ぎ8代目へと進化した911シリーズ
最新の911は第8世代にあたり、2018年に登場した。開発コードがタイプ992であることから単に“992”とマニアからは呼ばれている。丸いヘッドライトと、峰のあるフロントフェンダー、山型のキャビンにグラマラスなリアセクションなど、992の基本フォルムもまた初代911からのイメージを受け継いでいた。
クーペを基本に、フルオープンのカブリオレや一部が開放されるタルガトップの3ボディタイプに、RRの2輪駆動と4WDという2種類の駆動方式、トランスミッションも3ペダル7速マニュアルミッションと2ペダル8速デュアルクラッチのいずれかを組み合わせることができる。911の要であるフラット6エンジンも3ℓターボを基本に様々なパワースペックが用意されており、そこに4ℓ自然吸気エンジンも加わると、実にバラエティ豊かなエンジンラインナップとグレード構成になる。最もベーシックなカレラを買うつもりで価格表を眺めつつ、オプションを盛り込んでいくとすぐに上級モデルとの差が詰まってきて、関心がより高いグレードへとエスカレートしてしまいがちな理由は、戦略的に隙間のないラインナップにこそあったのである。
全ターボモデルになった今も特別な名前は911ターボ
そんな911シリーズの頂点に君臨しているのは、今も昔も911ターボである。“ポルシェターボ”の登場は1974年。初代930ターボはスーパーカーブーム真最中の日本の子ども達から絶大な人気を得て、以来、名実ともに911とフラッグシップグレードとなった。今ではほとんどのポルシェがターボエンジンを積み、むしろ自然吸気のフラット6のほうが珍重されるようになった。それでもなおポルシェターボといえば最上級グレードの911ターボもしくはターボSのことを指す。フラット6は3・75ℓとなり、最高出力は580PS、ターボSともなれば650PSにまで跳ね上がる。
いずれのターボでもその走りは劇的だ。アクセルペダルを踏み込めば爆発的なサウンドとともに凄まじい加速をみせる。それでいて、心臓が一瞬取り残されるようなGを体験することなど、そうそうない。カブリオレでルーフを開放していたならば尚更だ。けれども加速中の安定感の高さもまた圧倒的で、場所さえ許せば300km/hでのクルージングも悠々と可能なスーパー911であることが瞬間的に分かる。どこまでも走っていける自信がドライバーに芽生えるのだ。
性能も、そして価格もスーパーカー級のマシン。半世紀近くにわたって911のトップ・オブ・レンジにあったモデルゆえ、911ユーザーの間でも911ターボへの尊敬の念はとても大きいと言っていい。
今月の1台 PORSCHE 911 TURBO S CABRIOLET(ポルシェ 911 ターボ S カブリオレ)(画像5枚)
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[MEN’S EX Autumn 2021の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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