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麻薬的な加速感

RS6 アバント
グロスブラックのシングルフレームグリルを採用。ドアやルーフなどを除く、外板の多くがRSモデル専用デザインとされた。アルミホイールは21インチを標準に、オプションで22インチ(写真)も選択可能。

よってそのデザインは、エキサイティングなエンターテイメントでもある。クワトロならではのブリスターフェンダーに、前後にも張り出したスポイラー状のバンパー。さらにオプションで選べば、22インチ×10.5Jの超大径ホイールや、フロント10ポットキャリパーに440㎜径のカーボンディスクローターというブレンボのブレーキシステムを装着でき、迫力は一層増す。これらの強烈な駆動力や制動力を予感させるビジュアルも、RS6 アバントだからこそ、そんな説得力でもある。

スポーティなインテリア
ブラック基調でシルバーを用いたスポーティなインテリア。12個のマルチファンクションボタンを備えたステアリングを採用している。

室内に目をやると、運転支援システムの操作インターフェイスや、ダッシュボード中央の上下2画面タッチディスプレイなどはノーマルA6と同じだが、ハニカムステッチが施されたバルコナレザーのスポーツシートなど、トリムは専用。ドライブモード選択は「エフィシェンシー/コンフォート/オート/ダイナミック」の4モードを基本に、「RS1モード」と「RS2モード」というステアリングホイール上で切り替え可能な2種類が設定できる。ドライブシステム、サスペンション、ステアリング、エンジン音、クワトロスポーツディファレンシャルといったパラメーター項目を、「コンフォート/バランス重視/ダイナミック」の3段階を、それぞれ個別設定できる。

RS 6 アバント
最高出力600ps/最大トルク800Nmを発生する4リッターV8ツインターボを搭載。48Vマイルドハイブリッドやシリンダーオンデマンド(cod)を組み合わせることで環境性能も高められている。

48VのMHEVシステムと気筒休止機構を備えたパワートレインは4リッターV8ツインターボに7速Sトロニックで、最大出力/トルクは600ps/800Nmに達する。その加速感たるや…ただ速いのではない。おそらく純EVで、より0-100㎞/h加速の短い車は難なく見つかる。とはいえ、パワーの出方における、刹那の矯(た)めと陶酔感のある伸びについては到底、RS6 アバントには叶わない。

元より力強くスムーズなV8のエキゾーストとトルクに加え、5000rpm辺りからターボのブーストが二次曲線的に炸裂し、上乗せされる。踏み込んでいると、底なしに膨らむトルクとパワーが天井知らずで素早く積み上がる印象で、しかもクワトロ4駆が強烈無比のトラクションで地面を蹴り続ける。それこそ、ロケットやカタパルトもかくや? 的な、スケールの大きい燃焼感を伴う加速フィールは、はっきりいって麻薬的でさえある。とはいえ150ps/200Nmという1輪当たりの負荷は、ワイドなタイヤサイズとクワトロAWDの制御を鑑みれば、コントロール下なのだろう。

RS 6 アバント
スポーティにチューンされたRSアダプティブエアサスペンションを標準化。4輪操舵システムや、RSモードを備えたドライブセレクトなども装備し、0-100km/h加速は3.6秒に。

次世代アイコンとして純EVのe-tron GTが発表された今、RS6 アバントはアウディにとって旧世代のアイコンかもしれない。しかし、速く遠くへ合理的に移動するという目的を究めた先の、背徳感まで表現しおおせた一台として、RS6 アバントは唯一無二の進化を遂げている。それは確かだ。

文/南陽一浩 写真/柳田由人、AUDI AG 編集/iconic

<p>RS専用メニューが追加された、アウディバーチャルコクピットを標準装備。</p>

RS専用メニューが追加された、アウディバーチャルコクピットを標準装備。

<p>センターコンソールのコントロールパネルなどには、ブラックグラスルックのスイッチを採用する。</p>

センターコンソールのコントロールパネルなどには、ブラックグラスルックのスイッチを採用する。

<p>前席にはレッドのステッチで飾られた、バルコナレザーのSスポーツシートが備わった。</p>

前席にはレッドのステッチで飾られた、バルコナレザーのSスポーツシートが備わった。

<p>こちらは後部座席。</p>

こちらは後部座席。

<p>ラゲージはベースモデル(A6アバント)と同様の容量、565Lを確保、後席を倒せば最大1680リッターまで拡大する。</p>

ラゲージはベースモデル(A6アバント)と同様の容量、565Lを確保、後席を倒せば最大1680リッターまで拡大する。

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