PHEVモデルを追加しさらに性能を充実させた最新の都市型SUV
プラグインハイブリッドを採用しても走り、デザインなどプジョーらしさは健在
コロナ禍を奇貨として、多くの輸入車メーカーが日本市場で販売を伸ばしているが、中でもステランティス・グループの躍進は際立っている。聞き慣れない人のために説明すると、このグループはイタリアとアメリカのフィアット・クライスラー・グループと、フランスのPSAグループが昨年から戦略的に統合したもの。目下、欧州市場でも絶好調のジープ、そしてプジョーが、日本においても販売台数記録を毎月のように更新しているのだ。
そのプジョーが満を持して登場させたのが「3008 GT HYbrid4」だ。「コンパクトSUV」と分類される欧州Cセグメント・クラスの一台で、これまでも発売されてきた3008のマイナーチェンジ版だが、別物といえる仕上がりになっている。
パートタイム4WDを用意し、快適性、安定性を併せ持つ
ひとつはマイナーチェンジに付きもののフロントマスクの変化。牙状のデイランニングライトは508や2008、208らと同様だが、グリルからLEDヘッドライト下にかけて、いわゆる「パラメトリック・デザイン」を強調してきた。パラメトリックとは「不等尺の」というメトリック(等尺の)の反意語で、クルマにおいては、ある1点から徐々に間隔が規則的に広がっていく造形を指す。これをグリルで用いた先駆者はレクサスだったが、グリルだけでなくパラメトリックな意匠をボディカラーの付く部分にまで広げて一体感を強めた点が、今度の3008の新しさだ。初めて画像で目にした時は、まるで歌舞伎の隈取りのように思えたが、実車と対面したところ、目つきは鋭くなっても全体として涼しげな顔になったと感じられた。
もうひとつの大きな違いは、パワートレインがプラグインハイブリッド(PHEV)となったこと。200ps/300N・mのガソリン1・6ℓターボエンジンに、フロント側110psとリア側112psのモーターを組み合わせ、システム全体で300ps/520N・mを発揮する。プジョーの現行ラインナップにはFFしかなかったため、リアモーターによるパートタイム4WD方式が加わった事実は大きい。
内装の変更点は、メーターパネル内にハイブリッド走行時や4WDモードでの表示が加わったこと、そしてシートがよりモダンなトリムに進化したことだ。そもそも近頃のフランス車らしくインテリア全体の質感は高い。起毛素材のアルカンターラ、オープン塗装で木目を生かした仕上げのウッドという、素材の組み合わせからして見事だ。身体を包み込むようなシートの柔らかなサポート感に加え、プジョー独自の小径ステアリングの上から前方のメーターパネルを見据えるi-コックピットは、腕を大きくもち上げずとも運転姿勢がとりやすいメリットがある。内装の静的質感が高次元でバランスしているから走行中の快適度も非常に高い。