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「父は天然。アイシング代わりのパピコの味は一生忘れません」(村田さん)

ボクシング金メダリスト村田さん

自己防衛のための“城作り”好きなジャンルは哲学書

丸山 村田さんのオフの過ごし方も気になります。

村田 本をよく読みます。今日もバッグに『永平の風−道元の生涯』という、曹洞宗の僧侶である大谷哲夫先生の本が入っていますよ。

丸山 ボリュームがあって、読み応えがありそうな本ですね。

村田 読書はいわば自己防衛するための“城作り”。書店で本を選ぶこともありますが、それでは自分の興味のある哲学系の本ばかりになって、知識が偏ってしまうと思います。だから、人から勧められた本も積極的に読んで視野を広げるようにしています。

丸山 “城作り”とは! 含蓄あるお言葉、さすが読書家です。

村田 今は情報過多で何かと騒がしい時代ですから、ゆっくり本を読んだり、空をボーッと眺めたり、脳を休める“静”の時間を作ることが大切だと思います。と言いながら、食事中にスマホが気になって、妻にたしなめられることもありますが(苦笑)。

丸山 僕も気になる言葉は、すぐにスマホで調べたくなる。誰かといるときは極力、スマホには触らないようにしていますが。村田さんは、僕の父の姿に重なりますね。父は活字中毒で、家の中には本がそれこそ城のように積み上げられていましたから。

村田 僕の本好きも、父の影響によるところが大きいですよ。うちの父は少し天然なところがありまして。これは僕が中学3年生のときに当時所属していたジムで、スーパーライト級ランキング1位の選手とスパーリングしたときのことなんですが。

丸山 そんな無茶な。

村田 相手の左フックが、僕の鼻に命中して……。

丸山 骨が折れた?

村田 たぶん、折れていたと思います。大人になってから医者に、一度折れてくっついた形跡があると言われたことがあるので。折れた直後、迎えに来た父に手渡されたのがグリコのアイス、パピコでした。

丸山 アイシング!?

村田 ええ、これで冷やしておけと。

丸山 2本入りだから、鼻にあてがうのにちょうどよかったんですね(笑)。

村田 ただ、折れて熱を帯びていたので速攻で溶けました。あのときのどろどろに溶けたチョココーヒーアイスの味は、今でも忘れられません。

丸山 いやあ、面白いお父様ですね。村田さんのお子さんもボクシングを?

村田 怪我が怖いので、ボクシングはやらせたくないですね。9歳の息子は今、野球に夢中です。最初は僕も他の父兄と同じく練習に付き添っていましたが、つきっきりもなんだしと、最近は少し距離を置きながら見守るようになりました。その分、6歳の娘と一緒にパン屋巡りなどデートすることが増えましたね。

丸山 男の子は10歳ぐらい、女の子はもっと早いかな。親離れをして自分の世界を持つようになるのは。

村田 今、息子はプロ野球選手を目指していますが、簡単になれる世界ではない。可能性を広げるために、勉強も疎かにしないようには言い聞かせていますね。

後編に続く

村田諒太さん
「ゴルフは再現性の高いスポーツ。試合では毎日同じコースを回るのに、毎日順位が違う。それが僕らボクサーからすると、興味深く感じます」と村田さん。

[MEN’S EX Spring/Summer 2021の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)

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