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「歴代一番強い男になる」──楢﨑智亜さん

スポーツクライミングは自由。インタビュー中、楢﨑智亜さんから幾度もその言葉を聞いた。もともと器械体操をやっていたが、10歳のときに兄が通うクライミングジムについていってたちまち虜になった。

「同じ壁でも決まった道筋はなく、思った通り登ればいい。しかも上達するほどルートの選択肢が増え、壁の中でより自由に遊ぶことができる。それがとても楽しくて」

身体能力の高さもあって瞬く間に頭角を現し、高校1年時には初めて日本代表としてW杯に出場。卒業後はプロとなる道を選んだ。

「W杯にやっと出られたくらいだったのに、なぜか根拠のない自信がありまして(笑)。同世代の選手がほとんど大学に進学する中、自分はこれ1本で行くと決めました。逃げ道を作りたくなかったのかもしれませんね」

その選択は正しかったようで、プロ2年目の2016年、世界選手権のボルダリングで日本人として初優勝。同種目のW杯でも日本人男子初の年間チャンピオンを獲得し、その名を一躍世界に轟かせる。なおクライミングは、登れた課題の数を競う“ボルダリング”のほか、高さを競う“リード”、速さを競う“スピード”の3種目がある。

東京五輪では3種目の複合の結果で順位が決まるが、楢﨑さんはこの複合でも幾度も優勝に輝いている。だから有力メダル候補と目されているが、本人の心境は?

「クライミングで大事なのは本人が楽しむ気持ち。勝てば勝つほどプレッシャーも大きくなりますが、それに打ち勝つためにも、もっと自由に、もっと楽しく登るにはどうしたらいいのかと考えて、日々トレーニングしています。それにクライミングが五輪に採用されるのは今回が初。多くの人に関心を持っていただける絶好の機会と思うとむしろワクワクしてきます」

若い楢﨑さんにとって五輪はひとつの通過点。最大の目標は歴代最強のクライマーとなることだ。

「過去いろんなクライマーがいましたが、彼らと比べても“一番強いのは智亜”と呼ばれる存在になりたい。じつはずっとそれをモチベーションに頑張ってきました」そう語る彼の左耳にはさりげなくピアスが輝いていたが、この競技はピアスも髪型も自由。

「そこも僕がクライミングを好きなところ。どうせ見られるなら少しでも格好良く見せたいですから(笑)。壁の中で自由な僕に子供たちが憧れてくれて、結果日本の選手層が底上げされれば……なんてことも考えているんですよ」

クライミング界の代表に恥じない装いを心がける

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日本を代表するクライマーとして注目される立場になって、意識の変化は?と聞くと「他のトップアスリートと並んだときに、見劣りしない人間になりたい」との答え。そのため最近では積極的にスーツも着ているという。

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