ビジネスエグゼクティブのこのスーツ、この装い
時流の変化を敏感に感じ、対応を迫られる組織のトップ。働き方の変化、取引先・お客様のドレスコードも変わりゆく今において、スーツを選ぶ意思を持つお二人に話を聞いた。「それでもやっぱりスーツ」の理由とは。
菱洋エレクトロ 代表取締役社長
中村守孝さん(60)× ネイビーストライプスーツ
50年近く前に知った紳士服のルールは今も自分のベース
「中学生の頃からアイビー、トラッドが大好きで、そこから紳士服のルールも学んだ」と中村さん。そのルールは今もベースと話す中村さんは、サイズ感も細部も綺麗にまとまり上品さが際立つ。スーツは2年前から通う「レクトゥール」でオーダーしたもの。
Profile
1959年東京生まれ。’84年慶應義塾大学を卒業し、伊勢丹入社。三越伊勢丹ホールディングス常務執行役員を経て、2017年菱洋エレクトロ入社、’18年から現職。
「自分を知らない人たちに、自分を知ってもらうためのツールです」
前職は伊勢丹に勤めていた、と聞いて納得した。主張あるストライプスーツを堂々と着こなしている様子に、服が好きという意思が感じられたからだ。1961年創業、東証一部上場のエレクトロニクスの専門商社のトップという肩書きに実はお堅い印象を想像していた。
「一昨年より現職ですが、専門商社で黒子としての役割が大きいので、そのなかでどう装うかを考えました。黒子だから地味じゃないといけないということでもないのです。個人的にもお世話になっているビームスの中村達也さんがよくおっしゃっている『行きすぎず、古臭すぎず』という言葉が好きでして。きちんと装ったうえで自分を表現し、相手に覚えてもらうことも大切。異業種への転身でしたから、初めは誰一人として知っている人がいませんでした。お取引先様等、同業の方が集まる場に行くと、私の装いは多少派手な部類に入りますが、これがきっかけで話が盛り上がり、認識していただけることも多いのです。世の中のドレスコードは緩みつつありますが、だからこそしっかりスーツを着たい。何よりスーツは男らしいじゃないですか。仕事に身だしなみを整えて臨むという、気持ちの良さが生まれるのです」