現代アートもエキサイティング
もっとポップなシカゴを観たいのなら、数年前にニューヨークのワン・ワールド・トレードセンターにその座を譲ったものの、全米一高い建物だった、412mのウィリス・タワー(旧シアーズ・タワー)に登ってみるのも一興だろう。「スカイデッキ・シカゴ」と呼ばれる103階の展望台だ。シカゴのダウンタウンを上から見下ろすだけでも、天気のいい日はイリノイ州だけでなく隣のウィスコンシン、湖の対岸のミシガンやインディアナまで4州が見渡せるとか。それだけでも十分スリリングだが、ここには「ザ・レッジ」という、ガラス張りで建物の壁面から油圧式スライドでせり出した、ガラス張りのステップがある。412m彼方の地面をガラス越しに見るのは、確かにちょっとしたアドレナリン体験だ。
アドレナリンが出て空腹を覚えたのなら、シカゴはピザやホットドック、ハンバーガーなど、いかにもアメリカンなファーストフードの都でもある。ネオン・レリッシュと呼ばれるシカゴ・スタイルの人工的なグリーンのピクルスは、近年の健康志向を反映してか、さすがに見かけなくなったが、シカゴ風のホットドックはポピーシードのバンズで具沢山ながら、トマトケチャップがかかっていないことが必須。逆にピザは、生地がクリスピーで沢山のトッピングがのるよう深めだが、トマトソースがいちばん上でなくてはならないらしい。
ベーシックなBLTのハンバーガーもホットドックと同じく、ケチャップはデフォルトではかけられていないが、ブラック・アンガスの粗挽きミートなど肉質にこだわっているものが多い。タトゥーの店員がワゴンで配る様子はなかなかの迫力だが、意外と外連味のない旨さで滋味深い。シカゴらしいクオリティといえるだろう。
文・写真/南陽一浩 編集/iconic