KESENNUMA KNITTING / 気仙沼ニッティング
エチュード

漁港が有名な気仙沼に、話題のニットメーカーがある。気仙沼ニッティング。複雑なケーブルパターンも職人がすべて手作業で編みあげる、現代では希有な存在である。その道の大家であるインバーアランですらスコットランド本国での生産を終える時勢にあって、気仙沼ニッティングが決して手頃でない価格のハンドニットで勝負できる理由は、無論、そのニットに他に代え難い“特別”があるからである。
クルーネックニット“エチュード”は、伝統的なガンジーニットのように肩まで真っ直ぐ身頃が編まれていて、着るといい具合に肩が落ちる。ジグザグの編み模様には独特の存在感があるが、さりげない主張のため飽きがこない。そして手編みならではのほっこりとした温かみが、つい袖を通したくなる愛着を生む。
ニットには作り手の名前と似顔絵が入ったタグが付く。写真のニットを編んだのは、漁師の父を持つすみこさんだ。綺麗に整った編み目からは、熟練の技と誠実な人柄が感じられる。
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2020年1・2月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)