日々の暮らしにアートがあることで、生活に彩りが加わったり、気持ちが豊かになったりする。アートは、価格ではなく、それをどう感じるかが大事。新旧、好対照なアートの愉しみ方を取材した。
自分のペースで思う存分作品のストーリーに浸っています

3年前の引越しを機に、いよいよ現代アートにのめり込んでいった棟田さん。生活の質を向上させたいという気持ちは、装いのセンスからも窺える。「今日のスーツはブリオーニですが、ペコラ銀座のオーダースーツも好みです。靴はベルルッティ、時計はパテック フィリップを愛用しています」
確かな審美眼を持つ棟田さんが、現代アートにハマるきっかけとなった絵画が右の写真の一枚。「これは千葉正也さんの作品で、地獄の番人の閻魔大王と、三途の川を渡る人の衣服を剥ぐという奪衣婆がモチーフ(笑)」。アート選びのポイントを伺ったところ、「私にとってアートは、飾って愉しむモノ。写実技法が高いのに、訳の分からないモチーフなど、作品の背景にストーリーがあることが大事です。その方が見飽きずに後々まで愉しめますから」
ご自宅ではどのように楽しんでいるのか。
「時間を気にせず見たいときに、自分のペースで自由に楽しめるところが、家にアートがある良さ。作品を通して作家の考え方を知る体験によって、私自身、日常生活でもモノの見え方が変わっていくのを感じています。とても豊かな時間です」