「映画監督はやらないほうがいいと…」初挑戦のオダギリジョーさんに話を聞いた

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映画監督として新たな一歩を踏み出す、オダギリジョー氏に話を聞いた。

オダギリジョー

オダギリジョー JOE ODAGIRI


profile
1976年、岡山県出身。2003年、第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された『アカルイミライ』(黒沢清 監督)で映画初主演。その後、日本アカデミー賞、ブルーリボン賞をはじめ、国内外の数々の賞を受賞。これまでの監督作は、第38回ロッテルダム国際映画祭招待作品『さくらな人たち』(?09年/中編)。連続ドラマ『帰ってきた時効警察』第8話では脚本、監督、主演の3役を務めた。今秋には新シリーズ『時効警察はじめました』が12年ぶりに復活する。

シャツ4万2000円/ ユリウス(JULIUS TOKYO STORE)

長編映画の監督に初めて挑戦した

国内だけでなく、海外作品にも数多く参加するなど、日本を代表する俳優として活躍するオダギリジョーさん。そんなオダギリさんが満を持して長編映画の監督に初挑戦した。その名も『ある船頭の話』は、時代の移り変わりに直面した山間の村を舞台に、「本当に人間らしい生き方とは何か?」を世に問う意欲作。脚本は10年前に書き溜めたオリジナルストーリーがもとになっている。

「世の中が便利になっていく一方で、効率性ばかりが求められる風潮への違和感が僕の中にはずっとあって、10年ほど前にそのことを脚本にしてみようと思って書いたんです。ただ、当時は作品をつくる気にはなれなくて。というのも、いろいろな下積みを経験して映画監督になる人が多い中で、俳優である自分がその人達を飛び越えて撮るのはすごく失礼だし、フェアじゃないと思ったんです。だったら監督業はやらないほうがいいと考えて、ずっとストップさせていました」

胸の奥底にしまった監督業への想い。再び火を点けたのは、本作で撮影監督を務めた名匠クリストファー・ドイルとの出会いだった。「クリスが監督した作品に呼ばれて、彼と現場をともにするうちに、忘れかけていた創作意欲が刺激され、何かを作りたいと思うようになったんです。クリスが『お前が監督するなら俺がカメラをやる』と言ってくれたので、それでやってみようと」

ほかにも衣装デザインには『乱』で米アカデミー賞を受賞したワダエミ、音楽にはアルメニア出身の世界的ジャズピアニスト、ティグラン・ハマシアンといった一流の才能がオダギリ監督のもとに集結。圧倒的な映像美と音楽、そして豪華キャストの競演によって描かれるイマジネーション豊かな物語は、映画関係者の間で早くも注目を集め、8月末に開幕するベネチア国際映画祭への出品も決まった。「監督業は日々、悩み、苦しみ、頭を抱えることばかりでしたけど、みんなが支えてくれたおかげで乗り越えることができました。なので、ベネチア映画祭に選ばれたのはすごくうれしいですし、これでようやくみんなに恩返しできたような気がします」


「本当に大変でしたけど、みんなのおかげで乗り越えられました」

オダギリジョー
撮影現場はとにかくすべてが大変だったという。奥に写っているのは、監督業のきっかけをつくってくれたクリストファー・ドイル。

スーツを着る男のかっこよさがわかってきた

オダギリさんといえば、そのファッションセンスに定評があるが、ことスーツに関してはこれまであまり着る機会がなかったという。「最近は考えが変わってきまして、スーツを着る男のかっこよさがわかってきました。もう16年ぐらい前になりますけど、初めてカンヌ映画祭に行ったとき、タキシードの腕をまくってレッドカーペットを歩いていたんです。今思うと、決められたルールに従うのが嫌だというアピールなんでしょうが、なんだかね(苦笑)。これからそういう場ではちゃんとしたスーツを着ていきたいなと思っています。それが相手へのリスペクトにもなりますしね。今度のベネチア映画祭ではしっかり大人になろうと思います(笑)」

『ある船頭の話』

『ある船頭の話』

近代化とともに橋の建設が進む山間の村。川岸の小屋に住み船頭を続けるトイチ(柄本 明)は、村人たちが橋の完成を心待ちにする中、それでも黙々と渡し舟を漕ぐ日々を送っていた。そんな折、トイチの前に現れた一人の少女(川島鈴遥)。何も語らず身寄りもない少女と一緒に暮らし始めたことで、トイチの人生は大きく狂い始める—。9月13日(金)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー。

[MEN’S EX 2019年9月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)

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