大人気店、立ち食いの「祭寿司」へ


さて、次はお気に入りの「一徹」へ。その前に野暮用があり、グズグズしていたら、なんと看板になってしまった。ほんの3分差。滑り込みたかったと残念な気持ちで暖簾がしまわれた入り口を恨めしく見やり、狸小路を戻る。
ふと、以前から気になっていた横町へ入り、いつもは行列をなしている立ち食いの「祭寿司」をのぞいた。中は客がひしめき合っているが、どうやら入れそうだ。勇気を出して引き戸を引く。ガララと開く音に店の中にいる人たちから一斉に視線が飛んでくる。これが初見の洗礼。仕方ないとは思いつつも、こそばゆく慣れない。

開いていると思えたカウンターはどうやら先客がいるようで、奥にいた3人組が詰めて、場所を空けてくれた。とりあえず、サッポロの赤星の瓶ビールを1本。ツマミはなしで、最初から握ってもらう。アジ、シメサバ、コハダ。青魚が好きだ。
酒は冷蔵庫の前にいるお客が出してくれる。聞けば、東京からこの店の開店に合わせてわざわざ通ってくるのだという。というのも、この店は土、日、月、火曜が休みで、加えて17:00〜22:00の5時間しかやっていない。彼は「来るときは開店から閉店までいるんです。この冷蔵庫前の席でね」と笑う。



中年カップルが「お先に」と帰ると、並んでいたひとり客が2人が入ってきた。ふと外をみると行列が。知らぬものがたまたま集い、そしてそれぞれ帰る。ここに来る以外ではもう二度と会うことはないであろう。それこそ立ち飲みの醍醐味。並ぶ人に席を譲るため、ボクも帰ろう。コップに残った酒を一気に煽った。
酔い覚ましに歩く。冷たい風が頬に心地よい。明日も仕事だと思いつつ、知人がやっているバーをのぞいたが、ラッキーなのかアンラッキーなのか定休日だった。さあ、居心地のいいホテルへ戻ろう。