坂戸さんの思い出写真館(写真3枚)
念願のイタリア出張が決まった
次の転機は坂戸さんが25歳〜26歳頃に訪れた。初めて、イタリアへの出張が命じられたのだ。行先はピッティウオモ(※)、そしてミラノ。
「現地で見た、関係者の着こなしは衝撃的でした。そこから、さらにイタリアファッションの虜になって、現在につながったといえます。イタリア流のチーフの挿し方を知りたくて、ディスプレイされたマネキンの胸ポケットからチーフを抜いてたたみ方を確認したこともありました。現地の方々が長いソックスを履いていることも、このときに知ったのです。当時はほとんどの方がスーツで、いまのようにピッティウオモの会場でスナップ撮影も行われていませんでした。インターネットどころか、携帯電話がまだ普及していない時代の話です」

初めてスーツのオーダーに挑戦
このあと、継続的にイタリア出張へ出かけることになった坂戸さんは、27歳〜28歳頃に現地で初のオーダースーツに挑戦している。選んだのはリベラーノ&リベラーノだ。それまでシャツやタイを買いに足を運んではいたが、オーダーは初めて。
「イタリア語も話せないのに、よく一人で行ったなと思います。自分でもガッツがあったなと(笑)。でも話せないからすべてお任せでした。あまりに緊張しすぎて、実はその時の様子をあまり覚えていないんです」。
緊張の中、作ったオーダースーツはいまも手放せないものとなっている。坂戸さんによると、リベラーノ&リベラーノで何度もスーツを作ったけれど、いま見ても最初の一着が一番カッコよいとのこと。リベラーノ&リベラーノでは、よい再発見もできた。店主のアントニオ・リベラーノさんが、イタリアのスーツにオールデンを合わせるスタイルを実践していたのだ。しばらく、出番の少なくなっていたオールデンを合わせる魅力を知った坂戸さんは、このあと積極的にオールデンを活用。タイドアップに合わせたり、スーツ+タートルに合わせたりと、イタリアスーツの着こなしの幅が広がった。
