メンズファッション業界にはお洒落なだけでなく、とても個性的な生き方をしている人がたくさんいる。この連載では、いま注目の業界人のファッション履歴を通じ、各人の人間的な魅力に迫ってみたい。
第十二回 エル.アイ.エス代表 坂戸典之さん
Profile
坂戸典之さん/エル.アイ.エス代表
1971年横浜生まれ。学生時代にDCブーム、アメカジブームを経験し、21歳でシップスに就職。販売、バイイング、企画職を経験し、徐々にイタリア物の魅力に没頭することに。29歳でファッション系商社に転職し、のちに独立してギ ローバーのとともにエル.アイ.エスを設立。現在は同社代表を務め、人気のイタリアブランドを多数展開する。 着こなしの参考になればと、坂戸さんはご自身のスタイルをインスタグラムで発信中。 坂戸典之さんインスタグラム
社交的だった子ども時代
外国の方と並んでも見劣りしない立派な体型に無造作なヒゲ。一見すると力強そうな方に思えるが、話すまでもなく、すぐに笑顔を絶やさない朗らかな人柄が伝わってきた。気は優しくて力持ちを地で行く方と言おうか、貫禄たっぷりの坂戸さんに、まずは子供の頃の様子を聞いてみることに。
「スポーツも勉強もオールBで、なんでも浅く広くといった子ども時代でしたね。社交的で友人と遊ぶのが好き。そんな性格です」。
当時、夢中になっていたことを尋ねると収集癖があったそうで、ガンダムのプラモデルや、スーパーカー消しゴムを片っ端から買い集めていたという。きっと、50歳前後の読者なら、共感する方が多いのではないだろうか。
お兄さんの影響でファッションの道へ
坂戸さんがファッションに目覚めたのは中学生時代。当初はリーバイスのジーンズに魅力を感じ、アメカジに興味を持つ一方、すぐに2歳年上のお兄さんの影響で、大流行していたDCブランドにも目覚めてしまった。
「家が横浜駅の近くでしたから、ビブレや伊勢佐木町のマルイにはよく行きましたね。当時はペイトンプレイス、アバハウスが好きで、少し後に『あぶない刑事』を見て、(衣装に使われていた)メンズティノラス、テットオムがカッコいい! と憧れて」。