SIHH取材 DAY 4
ビジネスマンの優秀な相棒
ハイパフォーマンスな自社開発の新しいムーブメントを得た、ボーム&メルシエの「クリフトン ボーマティック」は、シンプルフェイスの男前な時計だ。
21石のオートマティック・ムーブメントは、一見すると伝統的な機械式時計のムーブメントに見えながら、その心臓部にさまざまな新しい試みによる、革新性を隠し持っているのだ。
時計にとっての、ウイークポイントの一つである磁気の問題を解決し、高精度な計時を可能にするため、この新キャリバー「ボーマティック」には、シリコン製のヒゲぜんまい、アンクル、ガンギ車を、リシュモングループの時計として初めて採用した。それは摩擦によるエネルギーの損失を削減し、部品同士のトルク伝達を向上させるというメリットをも持つ。
こうして高精度のムーブメントを得た「クリフトン ボーマティック」は、5日間のパワーリザーブが可能となり、すべてのボーマティック・ムーブメントを搭載するモデルを、クロノメーター基準の精度に仕上げているという。
そして特別モデルである「クリフトン ボーマティック 10436」は、実際にスイスクロノメーター検定のCOSC(コスク)を取得していて、その文字盤にクロノメーターの文字を掲げているのだ。
白いポーセリンのように仕上げられた文字盤や、漆黒の文字盤などクラシカルな表情も好もしい。風防はドーム型のサファイアで、またケースバックのクリスタルを通して、新しいムーブメントを眺める事ができる。
そしてピンバックルのアリゲーターストラップは、特別なツールを用いることなく、所有者が自分自身で、簡単に着脱できるという便利さだ。スティール製のブレスレットも用意されているから、湿度の高い日本の夏にはそちらを選ぶのも賢明だろう。

Profile
松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。SIHHは初回から欠かさず取材を重ね、今年で28回目。
撮影/岸田克法 文/松山 猛