思い出すのはジンギスカン
さて翌朝。帰りの飛行機は夕方。その前に余市へと向かい、ニッカウヰスキーの工場見学へ。途中、雪にも降られたが着いたときには青空が広がり、キンと冷えた空気が頬をなでる。なんと心地いいのだろう。NHKの連続テレビ小説『マッサン』は観ていなかったが、駆け足で創業者の竹鶴政孝とリタの物語を学んだ。サッポロビールといい、このニッカウヰスキーといい、北海道は近代日本の酒事情になくてはならない土地。先人の苦労を忍びつつ飲む試飲のウイスキーのうまきことよ。甘露、甘露。
ニッカウヰスキーの工場見学&ウイスキーを試飲(写真3枚)
早めの昼飯に海鮮丼を食したが、思い出すのは昨夜のジンギスカンのことばかり。「このウイスキーでハイボールを作ったら、肉の脂とよく合うだろう」そんなことを考えていた。そして、空港に向かう道中、北海道を代表する菓子メーカーのルタオのカフェでこの日もシメパフェをした。でも、やはり思い出すのは昨夜のジンギスカン。「ここから近いよなあ。今から行くとフライトに間に合わない。そもそも開店してないじゃないか」などと後ろ髪を引かれつつ、空港へ着いた。まるでヒグマが爪痕を残すかのように、ボクの心と舌に強烈な印象を与えた2泊3日の札幌食い倒れ旅だった。
取材・文/藤村 岳