“食イベント”というと読者諸氏はどんなものを想像するだろう? 広場に屋台がずらりと建ち並び、参加者が行列を作る。それもひとつの形には違いないが、食を通して自然や文化、歴史に触れるという革新的な試みも実施されている。「DINING OUT(ダイニングアウト)」はまさにソレ。「DINING OUT KUNISAKI with LEXUS」の体験レポート【後編】では、他の食イベントとは一線を画す、その “文化体験”という側面に注目したい。
【前編】はこちら「地方創生」の新しいカタチを目指して
「ダイニングアウト」は2012年にスタートし、今回で13回目を迎えた。「食を通じて地域経済の活性化を目指す地域振興プロジェクト」として立ち上がったイベントだが、今まで開催されてきた場所を見てみると、巨大なガジュマルの木の下、海に臨む林の中、陶窯が建ち並ぶ路上などなど、普通では考えられないロケーションばかりが目に付く。過去には大雨に見舞われたこともあったらしいが、それでも”外”での開催にこだわったそうだ。なぜか。
第1弾から企画・制作を手掛けているDINING OUT総合プロデューサーの大類知樹氏によれば、「野外レストラン」とは謳えど、いわゆる「レストラン」をやっているつもりはないという。
「そもそも食文化というものは、その土地の自然や伝統文化、歴史などに左右される。単に地産の食材を使うだけにとどまらず、そういった背景にもしっかりスポットを当てて地域を再構築していくと、新しい地域表現になります。大雨だって、その土地の気候がもたらす産物。もちろん、お料理を楽しんでいただきたいので、最低限のケアはしますが、その土地と真正面から向き合うことに、僕らはこの『ダイニングアウト』の意義を見出しているのです」
だから、開催地が決まると2、3ヶ月かけてロケハンとヒヤリングを繰り返し、時には夜のスナックまで回って徹底的に情報収集する。そして、その土地らしさを存分に堪能できる具体的な場所、プログラム構成を考えていくという。つまり、ゲストはこの「ダイニングアウト」に参加すれば、それだけでその土地の多彩な魅力を享受することが可能なのだ。