スターバックス コーヒー ジャパン 水口 貴文氏に聞いた「リーダーたちの本とメガネ」

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リーダーたちの本とメガネ

リーダーとしてビジネスを牽引する男たちが愛読する本&愛用するメガネ。そこには日々、厳しい競争の中で奮闘する彼らの思考法やビジネス哲学が宿っている。

中野 哲夫氏

Profile

スターバックス コーヒー ジャパン 代表取締役最高経営責任者
水口 貴文氏

1967年生まれ。東京都出身。上智大学法学部卒。イタリア ボッコーニ大学経営学修士課程修了。1989年、プライス ウォーターハウスコンサルティングなどを経て、2001年にLVJグループ(現ルイ・ヴィトン ジャパン)へ。グループ会社の副社長、CEO、同社取締役を歴任して、2014年にスターバックス コーヒージャパンに移り。同年、最高執行責任者(COO)に就任。2016年6月より現職。


尊敬する人の思考をトレースする”模倣読書”

人が本を選ぶにはいくつかの理由がある。好きな著者の作品だから。ベストセラーだから。はたまた何か問題を抱えていて、解決の糸口を見つけたいから、といった事情もあるだろう。

それに対して、今回の”リーダー”スターバックス コーヒー ジャパンの代表取締役最高経営責任者(CEO)である水口貴文氏の読書スタイルは趣を異にする。氏は、自らが惹かれ、信頼を置く人物が薦めてくれる本を積極的に読み込むというのだ。

「本は読む人の脳内を映す鏡のようなもの。その人の思想を構成するといっても過言ではないでしょう。だから、自分が敬愛する人に薦められた本には多くのことを気づかされる。最近では『宇宙兄弟』がそれ。同漫画を編集した佐渡島庸平さんと知り合い、彼のユニークさに惹かれて手に取ったのですが、これが実に含蓄に富んでいた。なるほどやはり!と膝を打ちまして、彼が手掛けた全作品を制覇してみようと思っているところです」

そう語る水口氏に「自分を形作る上で糧になった本は何か?」と訊ねてみると、まずは歴史小説を数多く発表した作家、童門冬二氏の代表作のひとつ『全一冊 小説 上杉鷹山』が提示された。

上杉鷹山は米沢藩の第9代藩主で、故ジョン・F・ケネディ大統領をはじめ世界中の著名人たちが、尊敬する歴史上の人物だ。幼少の頃に上杉家の養子となり、16歳で藩主を継いで藩政改革に取り組んだのだが、その政治手腕の卓越ぶりには現代にも通じるものがあると高く評価されている。水口氏は社会人経験が浅かった頃に同書に出合い、感銘を受けたそうだ。

「20代の頃、実家の家業をやっていた時期があるんです。ミッションはまさに経営の立て直し。当時、コンサルティング会社に勤めたキャリアを持っていたとはいえ、暗中模索しながら必死に前に進むような状態で、毎日が本当にしんどかった。そんなとき、私の信頼する知人が、この本の存在を教えてくれまして、読み進めてみると視界が徐々に明るくなり、やり続ける勇気がふつふつと湧いてきたんです。そんな本があるのかと聞き流してしまうのではなく、その情報を活用し、自分のものにする。それがいかに大切なのかを実感させてくれた一冊にもなりました」

水口氏が信頼する知人を通してめぐり合い、思想形成に作用したという本はほかにもある。例えば『スターバックス再生物語 つながりを育む経営』。同書を手にしたのは氏がスターバックス コーヒージャパンに転職することなど想像していなかった頃らしいが、進路に影響をおよぼしたのは間違いなかろう。氏は言う。

「何のために人は働くのか。リーダーとしては利益を上げることも追求するべきだけれど、それ以上に、人間として社会に貢献できるか、社員を幸せにできるかを考える必要がある。この本の著者であるハワード・シュルツはその実現のために、現在のスターバックスを築きました。私もこの組織に在籍することになりましたが、その精神が、社員はもちろんアルバイトに至るまでシェアされているのには驚かされましたね。本にはそう書いてあるものの、実態が異なるのはよくある話ですから。確かなのは、この本に出合わなければ今の私はなかったということ。自分が尊敬する人の思考をなぞってみると、見えてくること、開かれる未来があるのかもしれません」

自分らしいスタイリングは対話にも活きてくる

“模倣読書”の価値を理解している水口氏だが、外見に関しては「自分らしくありたい」というスタンスを貫き、自分の個性である”顔”により自然に馴染むメガネを求めるという。お気に入りはメガネ専業のファクトリーブランドで、「アランミクリ」「金子眼鏡」「999.9」「JINS」など50本以上ものフレームを所有。最近ではイタリア生まれの「VANNI」をよく着用しているそうだ。

「繊細なカラーリングと美しいフォルムに惹かれて、立て続けに3本購入しました。うちの社内は風通しが良くて、人間関係は非常にフラット。私もファーストネームで呼ばれているくらいです。自分らしさを大切にするカルチャーが浸透しているので、単なる美辞麗句を並べてもものの見事にスルーされますし、どこかから借りてきたようなものを身に纏っていたら、それがたとえトレンドの装いであっても、評価してもらえませんから(苦笑)。その点、このメガネをかけているときはものすごく自然体でいられるし、それが相手にも伝わっているような気がしますね」

リラックスしていれば、心が開かれ、相手と本音で話もできる。自分が気に入ったものを身に着けることは円滑なコミュニケーションを促すのかもしれない。

<strong>『全一冊 小説 上杉鷹山』 / 童門冬二</strong><br />江戸時代屈指の名君として知られる米沢藩9代藩主・上杉鷹山の生涯を描いた長編小説。破滅の危機にあった藩政を立て直すべく、改革に乗り出した鷹山の、優れた経営手腕が窺える。集英社刊。

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江戸時代屈指の名君として知られる米沢藩9代藩主・上杉鷹山の生涯を描いた長編小説。破滅の危機にあった藩政を立て直すべく、改革に乗り出した鷹山の、優れた経営手腕が窺える。集英社刊。

<strong>『スターバックス再生物語 つながりを育む経営』 / ハワード・シュルツ</strong><br />世界的ブランドへと育て上げたハワード・シュルツ氏がCEOに返り咲いてから、金融危機などの諸問題により業績が低迷していたスターバックスがいかにして復活し、再生の道を歩んでいったかを綴る。徳間書店刊。

『スターバックス再生物語 つながりを育む経営』 / ハワード・シュルツ
世界的ブランドへと育て上げたハワード・シュルツ氏がCEOに返り咲いてから、金融危機などの諸問題により業績が低迷していたスターバックスがいかにして復活し、再生の道を歩んでいったかを綴る。徳間書店刊。

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