【腕利き職人スーパースター列伝】〜vol.6〜 海外にも活躍を広げる神戸の靴職人/後編

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これまで、MEN’S EXでは、高度な腕前を持つ職人の方々を紹介してきた。彼らの持つ特別な技術は、これまでにも多くの場で分析されてきたが、実はテクニック以上に面白いのはそれぞれの人生だ。名人芸を生み出すきっかけは個性的な経歴があってこそ。この連載では、そんな名職人たちのユニークな人生を取材し、超絶技巧が生まれた背景を探ってみたい。

腕利き職人スーパースター列伝

スピーゴラ 代表/鈴木幸次さん【後編】

【前編】はこちら

スピーゴラ 代表/鈴木幸次さん

Profile
鈴木幸次(すずきこうじ)さん

1976年、神戸生まれ。地元の大学を中退後、様々な職種を経験したのち、靴産業に携わっていた父親の影響もあり、イタリアへ渡る。靴作りの専門学校を経て、ロベルト・ウゴリーニさんに師事し、高級靴作りの技術を習得。3年間のイタリア生活ののち、2001年に帰国し、自身の工房、スピーゴラをスタートした。

いよいよ帰国してスピーゴラを設立

3年のイタリア修業ののち、鈴木さんは2001年に帰国。イタリア在住の間、一度もホームシックになることもなく楽しい日々だったそうだ。帰国は「日本でイタリアと同様の靴作りができるのかどうか、様子を見るのも目的でした。当初は、同じように作ることができないのでは? と心配していました」と鈴木さん。

帰国して、当面は父親の工房に間借りする形で仕事を始めたものの、釘1本からイタリアと同じものがない状況なので、道具を探し回ったり、イタリアから送ってもらったりと苦労が続いた。製作できる環境づくりに時間が掛かった。

鈴木さんの道具

フィレンツェで知り合った日本のセレクトショップのバイヤーの注文、雑誌や評論家の著書での紹介、関係者の口コミ。いざ仕事が始まると、みるみるスピーゴラの評判が伝わるとともに、高級靴ブームの追い風もあり、着実に顧客は増えていき、仕事は順風満帆だった。 「関西にはイタリアで修業した人が僕くらいしかいませんでしたから。東京からわざわざ来てくださる方もあったし、2004年に東京でオーダー会を開催してからは、急に仕事が増えたのを覚えています。帰国当初はイタリアにいた頃の余韻を残した作風でした。いまはそれが薄まりましたが、当時は、お客さまも現地の雰囲気を求めていました。東京から足を運んでくださるような方は、洋服が好きで、目新しい職人に作ってほしいという方のほか、イタリアっぽいものが好きな方も多かったですね。いま思えば少し粗削りだったかな」。 2004年頃からは弟子入り志願者もあとを絶たない。その多くが長続きするというのも、鈴木さんの人柄や仕事ぶりの賜物に違いない。

木型を削る様子。小さなガラス片を使っての繊細な作業だ。

木型を削る様子。小さなガラス片を使っての繊細な作業だ。

ハンマーでヒールの形を整えていく。木型は水を付けて革を乗せて叩き厚みの調整をして行く。

ハンマーでヒールの形を整えていく。木型は水を付けて革を乗せて叩き厚みの調整をして行く。

靴の中にある釘などをヤスリで削る作業。

靴の中にある釘などをヤスリで削る作業。

ともにフレンチカーフを使用。左はフルブローグ、右がセミブローグ。ディテールをとくと御覧あれ。

ともにフレンチカーフを使用。左はフルブローグ、右がセミブローグ。ディテールをとくと御覧あれ。

カーフのダブルモンクストラップシューズ。

カーフのダブルモンクストラップシューズ。

ともにローファーだが、素材の妙を見て欲しい。左はシュリンクカーフ、右がリザード。

ともにローファーだが、素材の妙を見て欲しい。左はシュリンクカーフ、右がリザード。

左はシャインクロコのスリッポン、右はカーフ素材のアデレードタイプのフルブローグ。

左はシャインクロコのスリッポン、右はカーフ素材のアデレードタイプのフルブローグ。

左はマットクロコを使ったアンティークフィニッシュのローファー。右はホースフロントのチャッカブーツ。

左はマットクロコを使ったアンティークフィニッシュのローファー。右はホースフロントのチャッカブーツ。

鮮やかなパープルが印象的なスエードのセミブローグ。

鮮やかなパープルが印象的なスエードのセミブローグ。

ビスポークの木型のベースとなっているのがこちら。

ビスポークの木型のベースとなっているのがこちら。

2024

VOL.341

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