第4回「ビームス」代表取締役社長 設楽 洋さん[後編]
※最後に加藤綾子さんのスペシャルフォトギャラリー付き!
Profile
加藤綾子 Ayako Kato
1985年生まれ。2008年フジテレビ入社、看板アナウンサーとして活躍。2016年よりフリーアナウンサーとなり、活躍の場を広げている。著書に『あさえがお』(小学館)。
「”これが好きだからやる!”という、ストレートな気持ちが大切だと思いました」(設楽さん)
リアルな体験や出会いを億劫がらない若者は伸びる
加藤設楽さん自身も、今でも店で定点観測はされるんですか?
設楽店だけでなく、よく「タラちゃん(※設楽さんのニックネーム)は3人いる」とか「いつ寝てるんですか?」と突っ込まれるほど(笑)、ありとあらゆる場所に繰り出してます。
加藤どうやって時間を捻出されているんですか?
設楽寝るのはいつも朝4時位。ショートスリーパーなんです。ただ、月に2回くらい冬眠に入ります。先週も休みの日に16時間ぶっ通しで寝ました。
加藤それはすごい(笑)。
設楽遊び回って、いろいろな業界の人たちと会うことは次の流れをつかむことに繋がるのと、ファッション業界だけでなく、音楽、建築、IT、女子高生……それぞれの世界で流行りが異なる。それを横断的に知ることで、ファッションの世界でも去っていくものと、定着するものが見えてきます。
加藤設楽さんを超える遊び人の部下を育てるのが、一番難しそうです……(笑)。
設楽ただ、リサーチで海外に行ったときなど、僕らは必ず現地で流行りのスポットをチェックするんですけど、そこがクラブなら、昔はいつのまにか踊り狂っている自分がいたんです。でも今は一緒に行った若いスタッフが踊りに行ったとしても、僕は「この内装で、この音楽で、この料理なら流行るわけだよな」と頭で分析している。その時点でもう自分は遅れていると思っています。一般的なビジネスは年齢や経験が増すごとにスキルも上がりますけど、ファッションの世界はそうとは限らない。そういう意味で、年齢とともに感覚が鈍くなっていることをわきまえて、かつ人選を間違わないことが大切で、悩みどころでもあります。
加藤海外で流行りのスポットをいろいろご覧になられているだけあって、ビームスのオフィスもとてもお洒落で驚きました。社員の方々と交流しやすい環境にも配慮されていますか?
設楽たとえば社長室も奥まった場所でなく、フロアの一番手前にあって、扉は開けっぱなしにすることで、いつでも社員が入ってこられるようにしています。全てをオープンにしておくことで、生の情報交換の機会が増える。普段の着こなしもキメすぎると取っつきづらいと思うので、どこかに隙を作るようにしています。外部からもいろいろな人に来てもらいたいので、お客様もオフィスに入りやすいようビルに掛け合ったり。
加藤心をオープンにすることは、大切ですね。
設楽もちろん会議室で名刺交換から始まるビジネスもあります。ただ、ビームスがまだ名前も知られていなかった頃に「海外のあの街に行ったら、誰それに会ってこい」とか「タラちゃんだから取引を始めるよ」と助けてくれたのはみんな、一緒に遊んだ人々でした。だから、今は自分が柔軟に周囲を受け入れる立場でいたいと思っています。
加藤設楽さんのところに積極的にやってくる社員の方が、やっぱり伸びていくものですか?
設楽今はなんでもネットで見れて、体験した気分になれる時代ですけど、実際に出かけたり誰かに会ったりすることを億劫がらない人は、力を付けていくと思います。